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“あるべき姿“を具現化させる
ライフネット生命の持つマニフェストの効用

川原慎也 [船井総合研究所 東京経営支援本部]
【第95回】 2011年12月12日
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生命保険を
“原点”に戻したい

 「月々の支払い保険料を半額に!」

 「保険金の不払いをゼロに!」

 「保険を比較検討できるように!」

 ライフネット生命保険株式会社は、既存の生命保険に加入している消費者から見ると「本当にそんなことが可能なのか?」とも思えるようなビジョンを打ち出して、2008年5月に創業したベンチャー企業です。創業当時、戦後初めて設立された独立系生命保険会社として、保険業界内のみならず注目を集めました。

 創業者の1人である出口治明・ライフネット生命保険社長は、生命保険業界のリーディングカンパニーである日本生命に長く勤めた経歴があります。日本生命では経営企画を担当しながら、生命保険協会の初代財務企画専門委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に大きな役割を果たしましたし、ロンドンの現地法人社長、国際業務部長、といった重要なポストを任されていたという、言わばエリート街道を歩いてきた方です。

 先日、運良く出口社長と対談できる場を設けていただいたときに尋ねてみました。

 「恐らく、さまざまな企業から好条件のオファーなども無いわけではなかったと思われる出口社長が、なぜ、還暦を迎えるタイミングで、しかもベンチャー起業の立ち上げに踏み切ったのでしょうか?また、それは日本生命にいるときにはできなかったことなのでしょうか?」

 すると、こんな答えが返ってきました。

 「初めてお会いする方から、いつもそのような質問をいただくのですが、何か事を興そうとするときに年齢など全く関係ありませんよ。私の場合は、たまたまそのタイミングが60歳だっただけのことです」

 「また、生命保険を元の正しいカタチ、つまり“原点”に戻したいと本気で思っていました。生命保険は生活者の『ころばぬ先の杖が欲しい』という希望から生まれてきたもので、生命保険会社という制度が先にあったのではない、これが“原点”です」

 「今や20代30代の方々はなかなか所得が上がらない状況ですよね。生命保険を契約しようとしても、その人たちには高いしわかりづらい。契約すれば生活費を切り詰めなければならない。そのような不安な環境が少子化の要因にもなっていると思うのです。だからこそ、保険料の半額は必ず実現したいことでした。既存の生命保険会社では、長年築き上げてきたビジネスモデルがあるため、実現させるのは難しいでしょう。だとすると、自ら会社を立ち上げるしかない。全ては必然だったのだと思います」

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川原慎也 [船井総合研究所 東京経営支援本部]


1兆円以上の大手企業から社員3名の零細企業に至るまで、企業規模や業種業態を問わずに戦略実行コンサルティングを展開するという同社では異色の経験を持つ。「視点を変えて、行動を変える」をコンセプトに、戦略策定段階では「お客さまとの約束は何か」→「約束を果たすためにやるべき仕事は何か」を考え抜こう、計画策定段階では「計画が頓挫する可能性の対処策」を考え抜こう、実行段階では「勝たなきゃ組織一体化しない」から“勝ち”を積み重ねる階段を考え抜こう、と経験に裏打ちされた“視点”への刺激が散りばめられ、組織を動かす原動力へと変えていく。
最新著に『絶対に断れない営業提案』(中経出版)がある。

【関連サイト】『経営参謀の視点』※毎週月曜日更新 

 


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不透明な経済状況が続き、半年先の景気を読むことさえ難しい日本経済。この連載では、様々な業界やテーマで活躍する船井総研の専門コンサルタントが、業界別に分析し、半年先の景況感を予測していきます。

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