「時代の先を読むこと――」
これはビジネス成功の基本要素だ。しかし、あまりに先の未来を読んでも、実際のビジネスに活かすことは現実的ではない場合が多い。そういうことから、私たちは半年から1年くらい先を読むのがいいのではと考え、この連載のタイトルを決めた。
いろいろな分野の産業がこの後、どうなっていくのかが読めると、先回りしてそれに対応できる。すると、適切に準備した企業は成長の可能性をぐっと引き寄せることができる。
この「業界の半年先を読む」も今回(107回)が最終回となる。
次回からは、同じ執筆陣でコンサルティングの最前線で行われている格闘とも呼べる実例を交えながら、コンサルタントの視点を重視した原稿をお届けすることを予定している。ご期待いただきたい。
さて、最終回の今回は、私の専門領域である住宅・不動産業界が今後どうなっていくのかを考えてみる。
地価下落率は大きく減少
3月22日に発表された公示地価。住宅地公示地価は前年比-2.3%、商業地は-3.1%となり、リーマンショックが起こった2008年から4年連続の下落だった。
しかし、名古屋エリアが横ばいで底を脱したと言っていい状況になるなど、全国の地価算出地点のうち上昇地点が546箇所、横ばい地点が1849地点となった。前年の調査は2011年1月1日であるから、東日本大震災前になるが、その時点から大幅に地価の底を脱した地点が増えているという事実を加味すると、全体として地価はかなり好転しつつある状況が良く分かる。