企業の営業利益が大きく増加したにもかかわらず従業員給与がほとんど不変なので、従業員給与に対する営業利益の比率は歴史的な高水準になった。この結果、所得分配が大きく変化した。従業員給与が増加しないため、消費が増大せず、経済の量的拡大が実現しない。景気拡大期であるのに停滞感が強い基本的な原因はここにある。
この状況で必要なのは、経済原則に合わない賃上げを求めることではなく、所得税減税・法人税増税の組み合わせによる税制改正を行なうことである。
ところが、現実には、ちょうど逆の税制改正が行なわれようとしている。これでは、経済停滞から脱却できない。
営業利益は増えたが
従業員給与は増えていない
消費支出が伸びない。
12月8日に発表された2017年7~9月期の国内総生産(GDP)2次速報値では、実質経済成長率は上方に修正されたが、実質民間最終消費支出は前期比0.5%減と、依然として低迷している。
こうなる基本的な原因は、企業が従業員給与を増やしていないことだ。