積極的な地方銀行との提携戦略などで独自の道を突き進む東海東京フィナンシャル・ホールディングス。石田建昭社長に、今後の証券ビジネスの在り方や課題を聞いた。

証券業界「第3極」を狙う東海東京証券の独自モデルとはPhoto by Toshiaki Usami

──4月にスタートした新中期経営計画では、特にどのような点に注力したいと考えていますか。

 前中経では地銀提携の積極化で、グループの預かり資産残高は6兆円超となり、共同出資会社は6社に増えました。リテール(個人向け営業)依存から脱却して多様化を進める方向に、一つの形ができつつあると考えています。

 経営環境が激変する今、次の5年間で業界内のどこに位置するか。二大証券と銀行系3社、ネット証券がありますが、われわれは「第三の極」として、独自モデルをつくり上げていきたい。

 今後の大きな経営課題の一つは、顧客の高齢化です。資産の移転につながるこの問題をどう捉えていくか。一定の金融資産を持つ富裕層は有力な顧客基盤となります。IT・AIの時代にどう対応していくかも取り組むべき課題です。

──地銀との提携は今後も模索していく考えでしょうか。

 現在は地銀と提携した共同出資会社が6社ありますが、地銀の頭取と話していると皆、同じ悩みを抱えています。それは今の低金利政策やIT時代、高齢化や資金の流れの変化などへの対応の難しさで、経営が今までにないぐらい追い詰められています。