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東京23区「安心・安全な街」~あなたが住む地域の真のリスクと防災力

荒川区――23区一の厳重注意エリアを見守る「おんぶ作戦」と「おかみさんパワー」

池田利道 [一般社団法人東京23区研究所 所長],小口達也 [一般社団法人東京23区研究所 上席研究員],一般社団法人東京23区研究所
【第21回】 2011年12月14日
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 1932(昭和7)年、旧東京市は周辺の5郡82町村を編入し、「大東京市」が誕生する。当時の区の数は35。合併直後の1935年の国勢調査によると、この35区の中で一番人口が多かったのが荒川区だった。

 現在、荒川区の人口は20位、昼間人口は23位だ。だが、昼夜間人口比率は0.96を数え、結構自立度が高い。歴史が培ったストックは、今も荒川区の底辺を支えている。

地震では揺れやすく、燃えやすい
23区で一番の「厳重注意エリア」

 隅田川をさかのぼり荒川区に入ると、大きな蛇行が続く。それは、ここが氾濫原であることを示している。このため地盤が弱く、揺れや液状化のリスクが高い。

 建物密度3位、建物の平均敷地規模22位と、小さな建物がひしめく中に、密度3位の工場や、密度6位の危険物施設が混在するから、出火のリスクも高い。さらに、不燃化率15位、平均道路幅員16位、公園面積比率18位と、延焼を遮る機能も十分ではない。

 本シリーズでもしばしば取り上げてきた東京都の『地震に関する地域危険度測定調査』は、23区と多摩地域の市街化区域にある約5000の町丁目を、都が設定した危険量が多い順に並べ、上位1.64%以上を危険度5、これに次ぐ5.55%を危険度4と呼んでいる。

 危険度4以上とは、ごく限られた厳重注意エリアである(都の区分は町丁目数の割合に基づくが、本稿では実態をより正確に示すため、エリア面積の割合に基づいて記述している)。

 荒川区は、建物倒壊危険度4以上のエリアが過半を占める。火災危険度も、3割が危険度4以上だ。その結果、総合危険度4以上が区全体の55%、危険度5以上も2割を超える。順位で表わすものではないかも知れないが、総合的な危険度は23区で一番高い。

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池田利道 [一般社団法人東京23区研究所 所長]

一般社団法人東京23区研究所所長。東京大学都市工学科大学院修士修了。(財)東京都政調査会で東京の都市計画に携わった後、㈱マイカル総合研究所主席研究員として商業主導型まちづくりの企画・事業化に従事。その後、まちづくりコンサルタント会社の主宰を経て現職。

小口達也 [一般社団法人東京23区研究所 上席研究員]

一般社団法人東京23区研究所上席研究員。1978年より財団法人・東京都政調査会研究員、都市問題・自治体政策の研究に従事。87年より中央大学社会科学研究所・客員研究員、多摩地区の地域開発研究に従事。その後、フリーを経て現職。

一般社団法人東京23区研究所

東京23区をさまざまな角度から調査・分析している。マーケティングレポートなどを発行。HPはこちら


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東日本大震災を機に、自分が住む地域の安全性を気にする人が急増している。世間一般に「安全」と言われている街でも、そうとは限らない場合があるし、「リスクが高い」と言われていても、本当は災害への耐久力が強い街もある。実際のところ、あなたが住む街の安心・安全度はどうなっているのか。この連載では、地震、犯罪、火事、交通事故といった現代社会の4大災難を中心に、東京23区の「防災力」をあらゆる角度から分析する。豊富なデータを基に、「安心・安全な街」の条件を考えてみよう。

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