年金の「手取り」も減っている!

 給料の「手取り」だけでなく、年をとってから受け取る「国の年金」の手取りも大きく減っています。

 1999年と2017年の手取りを比較してみました。会社員だった人が国の年金(厚生年金)と、勤務先の退職金の一部を年金受取りにして、額面の年金収入が合計300万円あるケースです。
1999年の手取りは290万円あったのが、2017年では257万円となっています。なんと、18年間で33万円、1割以上の減少です(東京23区在住のケース)。

年金収入の「手取り」は、給料と同じように「額面の収入」から税金や社会保険料といった「引かれるお金」を差し引いた金額です。 給料と違うのは、社会保険料の中身です。年金生活に入ると厚生年金保険料はかからず、国民健康保険料・介護保険料の2つが引かれます。

2000年に公的介護保険が導入され、保険料がかかるようになり、手取りが減るようになりました。その後、65歳以上の高齢者向けの増税が相次いで実施され、年金にかかる所得税・住民税は大幅にアップ。また、国民健康保険料も年々上っているので、これも手取り減少の要因です。

「手取り」を増やす3つの方法

「手取り」を増やすには、次の3つの方法があります。
1 税金を減らす
2 税金も社会保険料も減らす
3 給付金など「もらえるお金」を申請する

給料で生活をしている現役世代は、厚生年金や健康保険の保険料を自分で減らすことはできません。社会保険料は給料に一定率でかかり、給与天引きされるからです。でも、税金を減らす方法はあるので本書で紹介します。

 年金収入は、やり方次第で税金と社会保険料の両方を減らし、「手取り」を増やすことができます。年金収入は多いほど、国民健康保険料や介護保険料が高くなり、手取りが減りますが、退職金の受取り方法次第で60代以降の手取りの金額は変わってきます。年金の手取りを増やす方法は、退職前に知っておきましょう。