日本の太陽電池市場は『週刊ダイヤモンド』2011年8月6日号で報じたように、バブル夜明け前で高揚感すらある。だが世界に目を向けてみるとまったく違った風景が見えて来る。欧州では一足先にバブルがはじけ市場が急減、米国では激しい価格競争に耐えきれず中堅メーカー.3社が破綻、米政府による中国メーカーへの不当ダンピング調査が外交問題に発展――と、枚挙に暇がない。激動の太陽電池市場の生き残りのカギはどこにあるのか。日本メーカーにそのチャンスはあるのか。2011年末、生産量が1.3ギガワットに達し大手メーカーの仲間入りを果たすカナディアンソーラーの庄岩(Yan Zhuang)・シニアコーポレートバイスプレジデント(グローバルセールス&マーケティング)の見解と共に、今後の太陽電池市場を占う。(ダイヤモンド・オンライン編集部 片田江康男)
新興国市場で勝つために
必要不可欠な3つの条件
「これから本格的に市場が立ち上がる新興国で勝敗を分けるポイントは3つある。まず、世界各国で導入実績を持つグローバルカンパニーであること。2つ目は設置する国の制度やビジネススキームに柔軟に対応できるスピードを持っていること。3つ目はバンカブル(Bankable)であることだ」
こう断言するのはカナダの太陽電池メーカー、カナディアンソーラーで世界各地の営業戦略とマーケティング戦略を統括するシニアコーポレートバイスプレジデント、庄岩氏だ。
同社は2001年11月に創業、カナダを本拠地とする新興の太陽電池メーカーだ。2011年の生産量は1.3ギガワットに達する見込みで、生産量ランキングで世界トップグループに仲間入りする。
世界の太陽電池市場は、IPP(卸電力事業)と言われるメガソーラー(大規模太陽光発電所)プロジェクトが中心だ。日本のように住宅に3kw~5kwの太陽電池を設置するのとは規模が違う。欧州では広大な遊休地や大規模工場の屋根などに設置する大規模プロジェクトがほとんどで、なかには100メガワットを超えるものもある。カナディアンソーラーはドイツ、スペイン、イタリアなどの大規模プロジェクトの太陽電池納入を受注し、実績を積んできた。