激動の2017年が、まもなく終わろうとしている。この1年で、世界のパワーバランスは、どう変わったのだろうか?世界を動かす三大国、すなわち米国、中国、ロシアを中心に見てみよう。(国際関係アナリスト 北野幸伯)

米中ロの三大国リーダーで
2017年の勝者は誰か?

反中でスタートしたはずのトランプを、わずか数ヶ月で見事に懐柔してしまった習近平こそが、2017年の「勝者」である。 photo:Reuters/AFLO

 世界には3つの大国がある。米国、中国、ロシアだ。米国のGDPは2016年、18兆6244億ドル、軍事費は6110億ドルと、共にダントツ世界1位だった。中国のGDPは同年、11兆2321億ドル、軍事費は2150億ドルと、どちらも世界2位。この2国が大国であることに、異議を唱える人はいないだろう。

 ロシアのGDPは、1兆2831億ドルで世界12位(韓国の次)。軍事費こそ692億ドルで世界3位の座をキープしているが、経済力で見ると米中と比べて、ずいぶん見劣りする。しかしこの国は、世界一広大な領土と、米国に匹敵する核戦力を持ち、なおかつ超資源大国である。そして、KGB出身の剛腕リーダー、プーチンのおかげで、国力に不相応な影響力を確保している。

 世界には他にも「大国らしき国々」がある。

 たとえば、日本とドイツは、文句なしの経済大国だ。しかし、この2国は、安全保障を米国に依存している。英国やフランスは核兵器を保有する経済大国だが、それでも安全保障は米国に頼っている。インドは、10年後間違いなく大国になっているだろう。だが現段階では、それほどのパワーはない。

 結局、世界情勢を知りたければ、米中ロの現状を知るのが一番早いのだ。

 さて、「この三大国リーダーの中で、2017年の勝者は誰か?」、こう質問されたら正直に「習近平です」と答えざるを得ない。なぜなら、習は「最強の敵を無力化することに成功したから」である。

 中国にとって「最強の敵」とは、いうまでもなく米国だ。

 思い出してみよう。トランプが今年1月大統領に就任した時、中国は極めてまずい状況におかれていた。トランプは昨年12月、台湾の蔡英文総統と電話会談した。これは、1979年の米中国交回復、米台断交以来はじめての出来事だった。

 さらに、新政権の布陣は反中国だった。まず、「トランプ政権の黒幕」と呼ばれたバノン首席戦略官(8月に辞任)。彼は「中国は、米国の敵」と公言してはばからなかった。国家通商会議の議長は、日本でもベストセラーになった「米中もし戦わば」の著者ピーター・ナヴァロ教授。彼は「米中戦争が起こる可能性は極めて高く、米国はそれに備えなければならない」と主張している。このように、トランプ政権は「反中政権」としてスタートした。