今や多くの人にとって、なくてはならないコミュニケーションのインフラとなっているLINE。LINEの登場によって、個人間のやり取りだけでなく、企業対個人のコミュニケーションにも変化が起きている。(文/ECのミカタ)

 これまで、企業対個人のコミュニケーション手段としては電子メールが主流であったが、普段あまりメールを見ていない、フリーメールの利用により企業からのメールがプロモーションタグに仕分けされ、ユーザーの目に留まらないなど、メールによる施策が行いにくくなりつつある。そこでLINEが新たなコミュニケーション手段として注目されている。

「LINEならではの特徴として、開封されやすく、送ってすぐに読まれやすいという傾向があります。あるデリバリーサービスのキャンペーンでは、お腹が空きそうな土曜日のお昼前にLINEでメッセージを配信したところ、直後に大きな成果を上げたそうです」(LINE上級執行役員・田端信太郎氏)。

「心休まる宿を教えて……」
具体的でない要求に応えるサービス

 ユーザーとのつながりを深めることができる、しかもそれが手軽に行えるという点で、注目を集めているのが「LINE@」というビジネス向けのアカウントである。LINE@は、友だち登録してくれた顧客やファンに、様々なメッセージを届けるツールで、基本料金は無料だ。一対一のトークによって、問い合わせに対応することもできる。多くのユーザーが新しいLINEメッセージの着信をスマートフォンのロック画面に表示する設定にしていることから、送ったメッセージも読まれやすい。

 LINE@で顧客にアプローチしたい企業は、先にあげた事例のように、ユーザーの行動時間に合わせてメッセージを発信したり、ユーザーの反応を把握し調べ最も効果的な時間帯を特定するなど、マーケティングツールとして活用している。また、例えば、唯一無二のこだわりの商品を持つ店が検索ではヒットしづらい情報を発信したり、商品に関する問い合わせに丁寧に答えるといったことが容易になる。

「例えば、『Relux』という高級路線の温泉旅館の予約に特化したサービスでは、『新宿から90分、3万円の宿』といった具体的な条件ではなく、『仕事に疲れてほっこりしたいので、一人でこもれる心休まる宿』といった条件化しにくいリクエストを受け付け、会話しながら、ニーズを満たす宿やプランを紹介するといったコミュニケーションをとっています」(前出・田端氏)。