地下トンネルを走る列車が駅にさしかかったとき、天井の照明が突然消えた。「おっ、暗くなった!」という声が上がるも、わずか1秒ほどで元の明るさに――2017年12月17日、東京地下鉄(東京メトロ)の銀座線で運転されたイベント列車「銀座線タイムスリップ」での一幕だ。

銀座線の開業90周年を記念したイベント列車「銀座線タイムスリップ」の車内。24年ぶりに車内が瞬間的に暗くなった

 銀座線は、浅草(東京都台東区)~渋谷(渋谷区)間14.3kmを結ぶ東京メトロの地下鉄路線。このうち台東区内の浅草~上野間2.2kmは1927年12月30日、日本初の地下鉄として開業した。2017年12月は開業90周年になることから、記念イベントの一つとして「銀座線タイムスリップ」が企画されたのだ。

 車両は銀座線の最新型電車「1000系」だが、開業当時の旧型電車に似せてデザインされた特別仕様車を使用した。運転士や車掌は、開業時に使われていた制服(復刻)を着用。着物で身を包んだメトロ社員も乗り込んで開業時の乗客の姿を再現し、昔の銀座線の雰囲気を楽しめるようにした。

新型の特別仕様車に搭載された
照明を消す「イベントモード」

銀座線は2012年から2017年にかけてレトロ調の外装を採用した新型電車の1000系を導入。「銀座線タイムスリップ」では内装もレトロ調にした特別仕様車が使われた

 このイベントでとくに注目されたのが、「瞬間消灯」の再現だ。かつて銀座線で運転されていた旧型電車は、特定の場所で天井の車内灯が瞬間的に消えていた。壁に設置された予備灯が代わりに点灯したものの、それでも相当な暗がりになった。私も初めて銀座線の電車に乗ったとき、車内が突然暗闇に包まれて驚いた記憶がある。

 特別仕様車には「イベントモード」と呼ばれる照明の調整機能が装備されている。この機能を使うと、旧型電車と同様に車内灯が瞬間的に消灯して予備灯が点灯する。特別仕様車自体は2017年1月から運転されているが、イベントモードの使用は今回の「銀座線タイムスリップ」が初めて。浅草方面から渋谷方面へ走る際、計14ヵ所で瞬間消灯が行われた。

 それにしても、昔の銀座線はなぜ、瞬間消灯が行われていたのか。暗闇のトンネルを走る地下鉄では、車内灯が常に点灯していた方がサービス面や安全面でも望ましいはずだ。