すし詰めの満員電車に長時間揺られ、身も心もくたくた──。こんな通勤風景が変わりつつある。首都圏において鉄道各社がダイヤ改正を行い、有料の着席列車を続々と投入しているからだ。
その流れをつくった元祖といえる存在が小田急電鉄の「ロマンスカー」だ。箱根への観光客が利用するイメージが強いが、実は1960年代から座れる通勤電車として利用されている。平日の朝晩は「数百円を追加して払えば確実に座れる」と支持され、連日ほぼ満席だ。さらに2018年3月、平日朝の輸送能力を4割拡大するダイヤの大幅改正を行うが、併せて通勤向け特急「ロマンスカー」を朝4本、夜1本増やす。
こうした流れをくみ、東武鉄道は東上線に08年、「TJライナー」を導入。好評を博し、今では池袋駅から埼玉方面に向かって午後6時から最終の深夜0時発まで、13本と数多く運行する。昨年からは平日朝の運行もスタートした。
同じく池袋駅を発着する西武鉄道の特急「レッドアロー」も朝晩の通勤時間帯は連日、ほぼ満席。これを受け、今年3月から東京メトロ有楽町線に直通する同様の「S-TRAIN」を走らせている。その他、京浜急行電鉄も特急「ウィング号」を5月から全席座席指定制にし、専用ウェブサイトを設けて発車1分前まで購入可能にした。