外国人労働者が
企業の発展を促進

 国も手をこまねいているわけではない。労働力人口減に対する政策として、IoTやAIなどテクノロジーの導入による生産性向上。そして新たな労働力確保。2つの方向から取り組んでいるが、西澤氏は「危機感がまだ薄い」と指摘する。先行しているのはテクノロジーへの投資であり、今、人材不足に直面している企業への配慮が十分ではないというのだ。

「人口が減少する中で労働力人口を増やそうとするなら、出産・子育てで離職した女性、リタイア後の高齢者の雇用を進めなければいけない。成果は少しずつ出ていますが、長年の社会構造を転換する取り組みでもあり、時間がかかるでしょう。もう一つの選択肢として注目されるのが外国人の雇用です。これはビザの申請をはじめ、就労前後のフォローを整えれば、採用の可能性が格段に広がるため、人材不足に悩む企業には魅力的だと思います」

 実際、外国人労働者の数は年々増えおり、16年は前年より17万人以上増え、初めて100万人を突破した(約108万人)。しかし、日本人の15歳以上の労働力人口の減少は、それを上回るペースで進行している。

 この流れを変えるほど、外国人労働者の数を増やせるのか。西澤氏はこう語る。

「ここ数年のトレンドは続くと思います。需給バランスからみても、特に飲食・サービス・販売などの業態では、絶対数が足りないだけでなく、インバウンド需要への対応のために、外国人労働者の積極雇用を進めるところが増えています。また、私たち日本人が想像するよりも、アジアを中心に『日本で働きたい』と思っている優秀な人材は大勢いる。両者をうまくマッチングできる仕組みを構築できれば、外国人労働者は間違いなく増えていくはずです」

 西澤氏によると課題は大きく2つ。まず、国が外国人労働者の受け入れを喫緊の課題として、ビザ取得緩和などの政策を行うこと。以前より就労ビザは取りやすくなっているが、よりいっそうの緩和が望まれる。

 もう一つは受け入れる日本企業の体制。外国人労働者の多くは正社員での雇用を望む。単なる労働力ではなく、将来の海外展開など成長戦略の一環として採用を考えるべきだ。