ロシアで3月18日に実施される大統領選挙。有力な対抗馬はなく、プーチンの再選が確実視されている。しかし、国内に抵抗勢力がまったくないわけではなく、米国もプーチン降ろしに動いている。プーチン再選は「楽勝」とも言えない情勢だ。(国際関係アナリスト 北野幸伯)

米国が動き出した!
強烈なプーチン封じ込め策

米国ではロシアの新興財閥狩りが始まり、ロシア国内でも「貧しいのはプーチンのせい」とする言説が注目を集めている。絶対権力者・プーチンに、これまでにない逆風が吹きつけている Photo:Reuters/AFLO

 プーチン再選を阻止したい最大の勢力は、実は米国だ。ただしこれは、トランプの考えではない。彼は大統領になる前も、なった後も、一貫して「親プーチン」の姿勢を保っている。

 ご存じのように、トランプは外国首脳への「好き嫌い」が激しいが、プーチンとはマッチョな強硬派同士、ウマが合うのだろう。だが、「ロシアゲート」の問題があり、プーチン政権と良好な関係を築くことができない。

 トランプ以外の米国内を見ると、「奴のせいでヒラリーは負けた」と信じる民主党は、すべて反プーチン。そして、共和党内にも「反プーチン」は多い。

 米国は、戦後約45年続いた「米ソ冷戦」に勝利。ソ連は崩壊し、新生ロシアは、しばらく米国に従順だった。ところが2000年にプーチンが登場すると、ことあるごとに米ロは対立するようになる。

 例を挙げれば、

 ・プーチンは、米国のイラク戦争に反対した
 ・プーチンは08年、米国の傀儡国家ジョージア(旧グルジア)と戦争し、圧勝した(当時、プーチンは首相。大統領はメドベージェフだったが)
 ・プーチンは、11年に始まったシリア内戦に介入した。米国は、欧州、サウジアラビア、トルコなどと共に反アサド派を支援。プーチンは、アサドを支持した。結果、アサドは反アサド派とISを駆逐し、今も政権にとどまっている。つまり、この「代理戦争」で、プーチンは米国に勝った
 ・プーチンは14年3月、クリミアをロシアに併合した。さらに、ウクライナ東部ルガンスク、ドネツクを支援し、事実上の独立状態に導いた
 ・「北朝鮮問題」でプーチンは、「圧力路線」の米国に逆らい、「対話路線」を進めている

 このようにプーチンは、あらゆる場面で米国と正反対の立場を取っている。米国が「プーチンを排除したい」と考えるのは、当然だろう。
 
 では、具体的に米国政府は、何をしているのだろうか?ブルームバーグ1月16日付は、米財務省が「新興財閥リスト」を作成していることを報じている(太線筆者、以下同じ)。

<米財務省がプーチン政権に近い新興財閥リスト提出へ-露富裕層は動揺

ブルームバーグ 1/16(火) 13:30配信
 米財務省はロシアのプーチン政権に近い新興財閥の寡頭資本家「オリガルヒ」の最初の公式リストを完成させつつある。
これを受けロシアの富裕層は財産と名声を守る行動に乗り出している。 >