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営業をいかに変えるか

生産性向上のためのTOPSアプローチ
科学的営業のすすめ

The New Science of Sales Force Productivity

ダイアン・レディンガム,マーク・コバチ,ハイディ・ロッキー・サイモン
2012年2月9日
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売上げは、営業の力が大きく影響する。しかし、ガンバリズムやトップ営業マンに頼った営業はいい加減限界を迎えており、賢い企業はすでに方向転換を図っている。GEコマーシャル・ファイナンス、シスコシステムズ、シティグループ、SAPアメリカなどの企業では、データと科学的分析を駆使して市場や顧客基盤を見直し、またITや最新の経営理論を活用して、生産性を改善している。これら科学的営業を導入している企業を詳しく調査したところ筆者らが「TOPSアプローチ」と呼ぶ施策を実践していた。

ある営業マネジャーのため息

 ボブ・ブロディは営業部長である。彼は眉間にしわを寄せて、椅子のなかで背中を伸ばした。今年は売上げを8%伸ばせとの上からのお達しである。実際に汗を流すのはだれだと思っているのだろう。

ダイアン・レディンガム
Dianne Ledingham
ベイン・アンド・カンパニー パートナー

マーク・コバチ
Mark Kovac
ベイン・アンド・カンパニー パートナー

ハイディ・ロッキー・サイモン
Heidi Locke Simon
ベイン・アンド・カンパニー パートナー

 昔の営業はよかった。「目標プラス10%」と一言号令をかければ、全エリアの全営業担当者が同じ目標を目指して、何とかしてくれたものだ。もちろん目標に達しない者もいたが、その分はトップ営業マンたちが十分埋めてくれた。

 それがいまでは、ほとんどの企業の購買部門がコンピュータ・ソフトを使って日用品の仕入先を決めている。冷徹な金勘定のほうが人間関係よりも大事になったのだ。また、自社仕様にカスタマイズされたソリューションを求める、ややこしい取引も増えた。

 どんなにゴルフのお供をしてみたところで、もう契約は取れないのだ。製品と業界を熟知した精鋭を集め、インセンティブもたっぷり与えて、バック・オフィス支援もしっかりやる、これ以外に術はなさそうだ。

 実を言うと、ブロディは途方に暮れていた。「いつかこうなるとはわかっていたが――。いまの営業は、昔のように単純なものでも、予想しやすいものでもなくなってしまった。プラス8%だって。どこから手をつけていいのやら――」

 どこかで聞いたような話に思えるとしたら、これはどこでも似たような事情だからであろう。我々はこの数年、ブロディのような立場の営業部門のリーダーたち数十人に、彼ら彼女らが抱える営業課題を解決してきた。

 世界はどんどん変わっているにもかかわらず、この人たちは上から降ってきた目標を下に押しつけ、一つ覚えのように営業担当者の頭数を増やし、そのうちのだれかが何とかしてくれると願っているだけなのだ。

 お手本とされるゼネラル・エレクトリック(GE)においても、営業面ではこのような場当たり主義の時代があった。営業担当者に担当地域を割り当て、「目標目指してがんばれ」と送り出すだけだった。マイケル・パイロット――彼は22年前、営業職としてGEに入社し、いまではGEコマーシャル・ファイナンスの一部門、USエクイップメント・ファイナンシングの社長を務めている――がそう言っている。

図「頭数か、生産性か」
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 最先端を走る営業部門のマネジャーは、昔とはまったく異なるやり方で営業チームを管理している。新しい市場環境に対応するため、営業のアプローチを一からつくり直し、だれも考えなかったような層にまで対象顧客を広げ、そして有能な人材を新たに採用するだけでなく、既存の営業担当者たちの売上げも伸ばし、営業チーム全体の生産性を上げている(図「頭数か、生産性か」を参照)。

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