統合で懸念されるパイロットの流出
社風の違いもネック

 こうした理由から統合問題にさらされてきたバニラとピーチ。しかし一緒になるには「2社のカルチャーや運航ノウハウがあまりにも違う」(同)。ベンチャー気質のピーチと、ANAという後ろ盾があるバニラでは、社内の雰囲気が大きく異なる。それはオペレーションにも表れており、例えば客室乗務員の接客スタイル一つとっても、ピーチは非常にラフでフレンドリー。対してバニラは従来型の「おもてなし」を心掛けている。

 他にも重大な懸念事項がある。統合に際して仮に関空拠点のピーチに寄せるとなると、成田国際空港を拠点にするバニラのパイロットや整備士が、成田を拠点にするLCC、ジェットスター・ジャパンなどへ流出する可能性が高いのだ。

 航空業界ではパイロットや整備士が不足しており、企業間で熾烈な取り合いになるほど。ジェットスター・ジャパンは「好条件」と業界では有名だ。同社は豪カンタス航空と日本航空の合弁会社。ANAグループは貴重なパイロットや整備士を失い、かつ敵に塩を送ってしまっては元も子もない。

 一筋縄ではいかない統合問題だが、アジアにおける競合LCCの事業展開スピードは加速するばかり。決断の時は迫っている。