昨年の将棋界は「藤井聡太四段(現五段)がデビュー1年目で29連勝」「羽生善治が永世七冠達成」など大いに盛り上がったが、将棋と双璧をなすボードゲームの「囲碁」はイマイチだった印象だ。囲碁界にも、先日の国際大会・LG杯でも準優勝の活躍を見せた井山裕太七冠というスター棋士がいるが、なぜ将棋と囲碁はこれほど人気に差が生まれてしまったのか。囲碁の普及に取り組むIGOホールディングス株式会社代表取締役の井桁健太氏に話を聞いた。(清談社 布施翔悟)

競技人口は将棋の半分以下
なぜ囲碁人気はイマイチなのか?

「囲碁にだってスター棋士はいるのに...」。将棋の棋士ばかりが注目される昨今、ほぞを噛む囲碁ファンは多いはず。実は世界的に見れば、囲碁ファンの方がはるかに人口が多いのだが、なぜ日本では将棋人気に圧倒されてしまっているのだろうか?

「将棋も囲碁もプレイヤーのことを“棋士”と呼びますが、将棋界の藤井五段や羽生竜王と同じように囲碁界には井山裕太というスター棋士がいます。彼は圧倒的な成績を残し、昨年は「2度目の七冠達成」という偉業を成し遂げたにもかかわらず、世間では将棋棋士ほど注目されていません。正直、将棋界が羨ましいですね…」(井桁氏)

 井桁氏が漏らすように、おそらく「囲碁」という白と黒の碁石を使う陣地取りゲームがあることは知っていても、打ち方は知らないという人がほとんどではないだろうか。

 データ上でも、将棋と囲碁の人気差は明らかだ。日本生産性本部が発刊する『レジャー白書 2017』(生産性出版)によれば、16年の囲碁人口は200万人で、一方の将棋は530万人となっている。

 では、なぜ囲碁は将棋ほど人気がないのか。井桁氏はまず、囲碁というゲームにつきまとう誤解があると指摘する。

「将棋に比べて、囲碁はルールが分かりづらく、とっつきにくいという印象があるようです。しかしルール自体は4つぐらいしかなく、10分ほどで説明は終わります。囲碁で使う碁石は盤上のどこに置いてもいいので、シンプルかつ自由なところがこのゲームの最大の魅力ですが、それを1回目で分かってもらうのは、なかなか難しいのかもしれませんね」(井桁氏)

 勝敗の見極めが困難なことも、普及の妨げになっているようだ。

「囲碁は勝負中の優劣が分かりにくく、打っている手の意図が見えにくいゲーム。テレビや雑誌など、メディアの人間も囲碁の戦局について上手に追えないことが多いのです。そうなると視聴者や読者が『囲碁はよく分からないから将棋に行こう』となるのも確かにうなずけます」(井桁氏)