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人工知能が囲碁トップ棋士に勝つ時代に考える
「知的職業」の未来

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第417回】 2016年3月16日
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「頭脳アスリート」の闘争本能で
果敢に戦ったイ・セドル九段は偉い

コンピュータープログラムがプロ棋士に勝つまでにはまだ10年くらいかかると言われていたが…

 韓国出身で近年の囲碁世界チャンピオンだったイ・セドル九段が、グーグルの系列会社が作ったAlphaGoというプログラムと戦って敗れた。5番勝負で最初に3連敗したのだ。

 5番勝負は、途中経過にかかわらず最後まで打たれることになっていて、第4局目はイ九段が勝った。

 囲碁は、盤のサイズが大きいこともあって(19×19である)、計算上あり得る手の数が多く、コンピュータープログラムがプロ棋士に勝つまでにはもう10年くらいかかるのではないかと言われていたが、AlphaGoはこの予想を一気に覆した。

 かつてチェスの世界チャンピオンが敗れ、将棋の一流棋士も公開対局で敗れたものの、囲碁はまだ大丈夫だろうと言われていたのだが、意外に早くコンピュータープログラムの軍門に下った。

 しかし、このプログラムと戦ったイ・セドル九段には、いくら讃えても讃えきれないほどの尊敬の念を覚える。戦うと決断したことが英断だし、加えて、3連敗後の4局目に勝ったことも素晴らしい。

 プログラムと戦うことは、名誉の点でも、彼のライバルに対して情報を与える点でも有利ではなかったはずだが、「碁が強い相手」がいるなら、それが人間でも、プログラムでも、戦いたいと思ったのだろう。その頭脳アスリートとして闘争本能と囲碁に対する態度は実に素晴らしい。

 日本独自のゲームである将棋にあっても、近年、コンピュータープログラムが強く、トッププロでも、事前にプログラムの弱点を研究して、それが上手く決まらないと、勝ちにくい状況になっている。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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