政府は2月16日、次期日本銀行総裁・副総裁の人事案を国会に提出した。黒田東彦総裁の続投および雨宮正佳・日銀理事と若田部昌澄・早稲田大学教授の副総裁への推挙だ。
金融政策は国民生活にさまざまな影響を及ぼすが、日銀幹部は国民が選挙で直接選ぶのではなく、その道の専門家が行う。それ故、衆議院と参議院で候補者を招いて審議を行うことは非常に重要な民主主義上の手続きといえる。
2008年当時は「衆参ねじれ現象」により紛糾した。今回は10年前のようなことは起きないはずだが、国会は「働き方改革」等々で大もめ状態だ。現在の副総裁の任期は3月19日までなので、日程的にはぎりぎりの雲行きである。
国会での審議が始まれば、黒田氏は超金融緩和策を今後もしっかりと続けて、2%のインフレ目標を目指し続けることを従来通りアピールするだろう。ただ、黒田氏も2期目となれば、歴史的評価が気になってくると予想される。
米連邦準備制度理事会(FRB)のベン・バーナンキ元議長も欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁も、大胆な金融緩和策を実施しつつ、任期中に正常化への道筋をつけた。さすがの黒田氏も緩和策を計10年やり散らかして去っていくのはまずいと、徐々に思い始めているのではないか。