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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

空港入管職員の怒鳴り声に色あせた
「ようこそ日本へ」のスローガン

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第93回】 2012年2月23日
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 旅に出ると敏感になる。旅路に出会った小さな親切がときには大きな感動を与えてくれる。逆に、異国で受けた嫌がらせや不快な出来事は、それがどんな小さなものであっても、意外と心のどこかに傷跡を残してしまうことが多い。以下の2つの例はその典型だと見てもいいのではないだろうか。

箱根の温泉旅館が示した
日本人のおもてなしの心

 北京出身の2人の若い女性がいる。団体ツアーに参加して観光客としてはじめて日本を訪問した。箱根の温泉旅館に一泊した。翌日の朝、温泉旅館を出発する時、旅館の関係者が見送りに出た。お別れの挨拶、お辞儀……日本の温泉地で見慣れたお見送りの風景だ。

 若い2人は、大型観光バスの一番後ろの座席に座っていた。旅館の前に一本細い道が伸びていく。しばらく行くと、バスが広い通りに出て、曲がろうとする。バスが曲がろうととしたその瞬間、後ろの席に座っていた2人がふと後ろを振り返ってみたら、すでにかなり離れた旅館の入り口のところで、旅館の関係者たちがまだ手を振りながらお別れを惜しんでいるのが見えた。

 2人はその光景に感動した。そして誓った。「絶対、もう一度、日本を旅しよう。今度は団体ツアーではなく、個人旅行者として自分の足で、この礼儀を大事にする国をゆっくりと見てみよう」と。日本と何の接点ももたないごく普通の2人の中国人OLは、こうして大の日本ファンになった。

 笑顔とおもてなしの力だと理解していいだろう。この2人の話を知った私は、講演などで何度も話題に取り上げ、おもてなしの心をもつ大切さを説いた。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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