『週刊ダイヤモンド』3月31日号の第1特集は、「大学新入試に勝つ!中高一貫校」特集です。2021年1月から実施される大学入試改革で求められる能力は、思考力や判断力、表現力――。知識を詰め込むだけでは解けない問題がめじろ押しになります。その影響は、中学受験の現場にも押し寄せています。本特集では、中高一貫校を取り巻く最新情報をふんだんに盛り込み、その実情をつまびらかにしました。

「部長の報告は客観性に欠ける。君はすでに大西社員を高く評価しようとしているではないか」

 営業の経験がある人ならば、こうした言葉を上役から投げ掛けられたことがあるかもしれない。

 だが、これはよくあるオフィスの会話ではない。関東地区で最難関レベルの私立中学入試が一斉に幕を開ける2月1日、その最高峰である開成中学校の受験生たちが格闘した、国語の問題文の一部なのだ。

 問題文は本誌に譲るとして、おおまかな内容は以下の通りだ。

 二つの支店で行ったカニ弁当の販売実績について、それぞれの支店の売れ行きを示したグラフを基に、販売部長が社長に結果を報告しているシーンが描かれている。

 この問題で問われているのは、片方の社員を評価する部長に対して、それを否定する社長の考えをグラフから読み取らねばならないという点だ。

 実は、こうした問題こそが、大学入試改革で取り入れられようとしているものに近い。

 これまでの入試は知識偏重型の側面が強く、いかに人より多くの知識を有しているかが焦点だった。だが、今や知識はコンピューターやAI(人工知能)が代弁してくれる時代。複雑化し、グローバル化した社会を生き抜くためには思考力や判断力、表現力といった、これまでの入試では測り切れない能力を高めねばならない。そのための大学入試改革というわけだ。

大学入試改革の影響が
中学受験にも波及

 大学入試が変われば、中学・高校の授業内容も変わり、引いては中学入試も変わる――。

 今年の開成の国語の問題は、そうした流れを強烈に印象づけた。これまでにも中学入試において、大学入試改革を先取りしたような問題は少しずつ出始めていた。だが、それはあくまで中堅校・下位校での話にすぎなかった。

 少子化の流れの中、少しでも先進的な取り組みをすることで生徒を集めることが、学校側の最大の狙いだからだ。

 それが、私立最難関の開成で出題されたことのインパクトたるや凄まじかった。中学受験に携わる塾関係者や他校は今年の2月1日の中学入試について、“開成ショック!”と呼んではばからない。

 この流れが一気に加速するかどうかは、来年にならなければ分からない。だが、これから中学受験を考えている層にとって、大学受験がどのように変わろうとしているのか、中高一貫校の取り組みがどうなっているのか、これまで以上に知っておくべきなのは間違いない。

英語力、新入試への対応策
中高一貫校の今を凝縮

『週刊ダイヤモンド』3月31日号の第1特集は「大学新入試に勝つ!中高一貫校」特集です。

 2021年1月から実施される大学入試改革や、首都圏の私立大学の定員厳格化による入試倍率の上昇などによって、中高一貫校の人気が過熱しています。高校受験のない中高一貫校は6年間をフルに使った自由度の高い授業展開が可能となるのに加え、大学付属校であれば、大学新入試の影響を受けずに大学に進学できるというメリットがあります。

 ですが、その中身は中高一貫校によって千差万別です。そもそも大学入試改革の意義は、今後ますます複雑化し、グローバル化する社会を生き抜くための力を身に付けるためであり、決して大学進学がゴールではありません。

 では、そうした力を付けられる中高一貫校とはどこなのでしょうか。

 本特集では、大学入試改革を核に、今の情勢を図解することを試みました。そして、北海道から九州に至る日本全国の私立、公立の中高一貫校の“序列”をエリアごとに誌面に展開しています。また、中高一貫校だけでなく公立高校との対比も示すことで、序列をより明確にすることにもチャレンジしました。

 併せて、全国の中高一貫校にアンケートを行い、回答のあった約300校のデータを抽出し、「英語“育成力”調査」「大学新入試への対応策」というテーマでアンケートをまとめています。

 本特集が、学校選びの一助になれば幸いです。