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China Report 中国は今

経済成長目標引き下げで風向き変わる中国経済
日本企業の出番はむしろ今?

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第95回】 2012年3月9日
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 3月3日、人民政治協商会議の第11期全国委員会第5回会議が、続いて5日からは、第11期全国人民代表大会(全人代)第5回会議が北京で開幕した。中国ではいまこの2つの会議(「両会」)に国民の関心が向けられている。

 今年の経済成長目標は7.5%――。

 全人代の開会式で温家宝首相は、今年の経済成長率目標を昨年の8%から7.5%に引き下げることを明らかにした。7%台になるのは2004年以来8年ぶりのことだ。

 ラジオからは「人民の健康を犠牲にする発展ではなく、質を重視した発展だ」と温家宝首相の声が流れる。

 経済成長を維持するためには、新たな雇用を創出し、物価や不動産価格の上昇を抑え、国際収支の改善などが欠かせないが、それら難題の解決は容易ではない。地元紙は「7.5%の維持ですら努力を要する」と厳しい現実を突きつける。上海市民も「今までとは時代が変わってきている」と不安を隠さない。

不動産、家具、タクシー、飲食…
じわじわ広がる上海の不景気

不動産市況の悪化を受け、とくに高級品の紅木家具を扱う店が苦境に

 上海では春節を過ぎると「不景気」という空気が街を包むようになった。景気悪化の「黄色信号」が、あちらこちらで散見される。

 上海の不動産市場は2月、19ヵ月ぶりに平米単価2万元台を割り、1万9831元となった。「限購令」(購入可能な戸数を限定し、不動産価格の過度な上昇を防ぐ政策)が導入されたため、不動産取引には数年前までのような活発さはない。専門家も「上海市場も残物件が積み上がっている」と指摘する。

 不動産市況の悪化は家具屋街を歩けばわかる。徐家匯の家具街には、もはや買い物客らしき姿はほとんどない。目に入るのは、店舗からサンプル家具を積み出すトラックだ。家具屋が軒並み潰れているのだ。特に紅木の高級家具屋があちこちで閉店している。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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