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今週のキーワード 真壁昭夫

大震災から1年、何が変わり何が変わらなかったか?
「痛みを伴う変革」を避け続ければ犠牲がムダになる

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第217回】 2012年3月13日
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未曾有の大震災から早くも1年
日本は変われたのか、それとも――。

 昨年、わが国を襲った東日本大震災で、我々は多くの尊い命を失った。その大震災から早くも1年が経った。この1年、我々は復興のために何ができたのだろうか。あるいは、何ができなかったのだろうか。大震災の記憶を風化させないためにも、この国が歩んだ足跡を整理することは意味があると思う。

 大震災の影響で、国内外のサプライチェーンが一時的に大きく寸断された。自
動車をはじめとする多くの産業分野で生産活動は低下し、わが国全体の経済活動に大きなマイナスの影響が顕在化した。そうした状況から、企業経営者は、不測の事態の発生に伴うリスクを真剣に考えるようになった。

 また、国内の経済活動の低下にもかかわらず円高が進み、主力の輸出企業の競争力を容赦なく奪った。わが国の多くの企業は、天災などによる経済活動の停滞と収益性の低下という2つの面から大きな課題を突き付けられた。

 その結果、企業経営者は、生き残りのためのビジネスモデルを真剣に考え始めている。現在では、大手企業から中小企業に至るまで海外展開を真剣に検討しており、今後自動車などの分野でも生産拠点に海外進出が一段と活発化することになるだろう。

 同様の動きは、製造業部門に留まらない。流通やサービスなどの産業分野でも、そうした動きが一段と加速することになると見られる。産業界では、「変わらなければ生き残れない」という意識が少しずつ重みを増している。それは顕著な変化と言えるだろう。

 一方、全く変わらない典型例がわが国の政治だ。わが国の政治は、いまだに被災地復興の全体像を示すことができない。実際、被災地の中には、復旧作業はほとんど手付かずというところもある。

 被災者の中には、「政府家は口では色々言うものの、実際には何もできない」という強い不信感もある。これからも、わが国の政治には期待できそうもない。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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