視野を広げるきっかけとなる書籍をビジネスパーソン向けに厳選し、ダイジェストにして配信する「SERENDIP(セレンディップ)」。この連載では、経営層・管理層の新たな発想のきっかけになる書籍を、SERENDIP編集部のシニア・エディターである浅羽登志也氏がベンチャー起業やその後の経営者としての経験などからレビューします。

アマゾン渾身のスマホが惨敗した理由

 米アマゾンが絶好調だ。2月1日発表の2017年決算では、売上は約20兆円で前期比30.8%増、純利益も27.9%増だった。

 新商品のスマートスピーカー「アマゾンエコー」も2017年に大きく売れ行きを伸ばした。競合するグーグルの「グーグルホーム」を大きく引き離し、2017年末時点で市場シェア70%を獲得している。

 まさに飛ぶ鳥を落とす勢いのアマゾンだが、かつて新商品投入で手痛い大失敗を喫したことがある。2014年に発売したスマートフォン「ファイアフォン」だ。

 ファイアフォンは、アマゾンのジェフ・ベゾスCEOからの「iPhoneではなくてあえてファイアフォンを買いたくなるほどの独創性を出せ」との号令のもとに開発された。

 その結果、1300万画素のカメラをはじめとする、現在のハイエンドスマートフォンと比べても遜色のないスペックが採用された。

 また、リアル店舗で商品のパッケージにカメラを当てると、その商品のアマゾンサイトのページが表示される機能を搭載。さらに機体にはユーザーの顔の動きを追跡する4つのカメラがあり、それによって3Dメガネなしで3D表示を可能にする「裸眼3D」という革新的な機能まであった。

 しかし売れ行きは惨たんたるものだった。結局1年ほどで製造中止になってしまった。

 アマゾンエコーとファイアフォン。どちらも技術イノベーションを反映する先進的な商品だが、かたや飛ぶように売れ、一方は大赤字の原因となった。この差はいったいどこから生まれたのだろう。