遠山周平

■第9回 Mar.13.2012 遠山周平

強く優しくを理想の男性像とする、
エシカル ドレッシングの薦め

著者・コラム紹介
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 もちろんネクタイ専門店としてのパワーは健在だ。ストライプ柄のアイリッシュポプリンタイに関しては、今や英国本社にもない柄を保有しているほど圧倒的な在庫量を誇っている。

 アイリッシュポプリンとは、縦糸にシルク横糸にウールを使用した平織り生地のこと。17世紀にユグノー教徒によりアイルランドへ持ち込まれ、その後ヴィクトリア女王からロイヤルワラントを賜り、名を馳せた。ネクタイ生地としての需要に応えたのは19世紀後半からだという。

 ストライプタイというと、「制服っぽくていやだ」とか「青臭い」などと毛嫌いする方もいらっしゃるが、ここのは特別だ。たて糸のシルクをよこ糸のウールで浮き上がらせるようにして織り上げるため、畝のある織り目から絹糸で形成された色柄が鈍い光沢をともなって立体的に現れる。それは、シルク100%のストライプタイにはない、酸いも甘いも噛みわけた大人だけにわかる深い色彩表現といえよう。

「男のお洒落は、野暮で粋でなくちゃいいけないよ、と創業者の祖父からよく言われました」と3代目の清水理さん。このネクタイは少し厚手で最初は馴染みにくいが、使い込むほどになんともいえない味が出て手放せなくなる。たしかに野暮で粋なアイテムなのだと、長年愛用した筆者も実感している次第。

 ネクタイ幅の流行はシーズンごとに変化し、今は9から9.5センチが主流だろうか。しかしそんな流行などは無視して、7.5から9.5センチの範囲でお好みの幅を勝手に決め、それをご自分のスタイルにしてしまう。これこそがトレンドに振り回されないエシカルな大人のドレッシング法だと思う。筆者のお好みは、トラッドスーツに合わせることも考慮して、今は8.5センチが多い。

『New!&吉田スーツ』には、現在8.5と9センチの2種が用意されているが、嬉しいことに8.5センチのほうはスペシャルプライスで販売されている。

 欧米の老舗メンズクロージングストアを彷彿させる重厚な店構えは一見敷居が高そうに思えるが、店内にはポケットマネーで買える質実良品がいっぱい。オフィス街のそばでもあるし、春一番の装いをまずネクタイから始めるのも心が浮き立つものだ。   

取材強力/New!&吉田スーツ 03-3501-9563 

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遠山周平 [服飾評論家]

1951年、東京生まれ。雑誌編集者、新聞記者を経て服飾評論家に。豊富な経験と知識を元に、“自ら買って、試して、書く”を信条とする。著書に『洒脱自在 おとなとしてシックに服とつきあう本』(中央公論新社)など。趣味の裁縫技術を生かし、捨てないお洒落生活を実践中。

 


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