前回のコラムで「裁量労働制」は、長時間労働の拡大を助長する悪法となる可能性が高いとお伝えしました。一方、高度プロフェッショナル制度(高プロ)は、チャンスと見ています。本稿で示す「煙たがられ一目置かれる人だけを対象とし、彼らを活かせる職場のみで使われる」ならば、労使双方にメリットがあるからです。さらには、高プロ適用者が、時代とともに制度疲労が進む日本型雇用システムや悪しき労働慣行を川上から崩してゆくロールモデルとなる可能性すら秘めているからです。(Nagata Global Partners代表パートナー、パリ第9大学非常勤講師 永田公彦)

高度プロフェッショナル制度、3つの前提

 前身のホワイトカラーエグゼンプションから既に10年以上も労働法制として検討・議論が繰り返される高プロ。今でも法案の詳細や対象者とされる人たちの労働実態が見えづらいこともあり、「疑わしい、何とも言えない、または関心が薄い」と思われる人が多いと思います。

 筆者も、正直その一人です。ただ「こうであればチャンス」という考えはあります。本稿では、その内容と根拠を示しますが、その前に、その考えの前提にある3つのことを示します。

 1つ目は、「高スペック・高額・高効率な、社内のキープレイヤー」です。高プロの対象者は、労働市場で高い報酬で売れる人(会社が、高い金を出す人)であるからには、難易度の高い専門分野において豊富な知識・能力・実績・経験を持つ人たちであるべきです。会社や上司から「この人に辞められたり、他社に引き抜かれたら困る」と思われる、会社の業績に大きな影響を与える希少価値の高い人たちであるはずです。

 逆に、彼らも、今と同レベル又はそれ以上の報酬で自分を売り続けたければ、付加価値の高い成果を上げる必要があります。そのためには、限りある時間の資源を有効活用し、時間当たりの生産性を含め効率良い働き方を求める人たちであるはずです。