銀行経営に配慮して金融緩和の「出口」を急ぐのは本末転倒だ

 ようやく物価が上がりだした。

 消費者物価指数(総合、対前年同月比)の推移を見ると、今年2月までの過去6ヵ月で、0.7%から1.5%まで上昇してきた。除く生鮮食品での指数や除く食品・エネルギーでの指数を見ても、それぞれ0.7%から1.0%、0.2%から0.5%へと上昇している。金融機関や経済学者の一部からは、異次元緩和からの「出口戦略」を急げという声が出ているが、時期尚早だ。

インフレ率鈍化は消費増税の影響
最近の物価上昇は驚かない

 物価の動きを見ると、2013年4月に「異次元緩和」が始まって以降、2014年4月の消費増税前までは、いい感じでインフレ率が上昇したが、消費増税後は、景気後退を反映しインフレ率は低下した(図1参照)。

 この間のインフレ率の変動は、金融緩和による需要増と消費増税による需要減によって、説明できる(2015年3月19日付け本コラム『「2%インフレ目標未達」の批判は誤解で的外れ』)。