3年連続の3月採用広報開始となった2019年新卒採用は、インターンシップの最低日数要件が緩和され、1日で完結するキャリア教育プログラムなど採用広報解禁前からの接触が増加。人材獲得競争が激しさを増す中、学生の就職に対する意識はどう変わったか。その変化を読み解く。(調査・分析/(株)ダイヤモンド・ヒューマンリソース 新卒メディア事業局 局次長 高村太朗)

 この4月に入社した2018年卒の大学生の就職内定率は2月1日時点で91.2%(厚生労働・文部科学両省発表)と前年同期比0.6ポイント増加。7年連続で上昇し、調査開始以来の最高値を更新した。

 19年新卒採用においても、少子高齢化による若年労働者不足を背景に、企業の採用意欲は依然として高く、学生の獲得競争は一層激しさを増している。

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 1000人を超える採用を続けてきたメガバンクが採用数の抑制を発表する一方で、流通、物流、小売り、外食、建設といった業界は慢性的な人手不足に陥っている。

 また「第4次産業革命」ともいわれるAIやIoTに関連する職種では、外資系企業やテック系企業を中心に、人材確保のために初任給を引き上げる動きが報じられるなど、「スキル」や「専門性」を持った人材を求める傾向が顕著となってきた。

 日本経済団体連合会(経団連)の「採用選考の指針」は、3年連続で「3月採用広報開始、6月採用選考開始」のスケジュールとなったが、「5日間以上」としてきたインターンシップの最低日数要件が撤廃されたこともあり、短期間のインターンシップや職業観涵養を目的としたキャリア教育プログラムを導入する企業が相次いだ。

 政府は経団連を含む約450の経済団体・業界団体に対し、指針に基づく採用活動開始時期の順守や学事日程への配慮を要請しているが、外資系企業や人材確保に苦慮する業界の企業、希少性の高い専門知識を有する学生を獲得したい企業はこのルールに縛られずに採用活動を行っており、従来以上に採用戦線の早期化が際立った。

 ダイヤモンド・ヒューマンリソースが2月に実施した学生モニターアンケートでは、インターンシップに参加した学生は71.4%と同時期の調査で初めて7割を超えた。「インターンシップを実施していない会社は採用しないのではないか」「インターンシップの選考に落ちたら入社を諦める」という学生の声が聞かれるほど、インターンシップの重要性は高まっている。

 経団連はこのような状況を踏まえ、21年春入社の学生を対象とした就活ルールについて、面接の前倒しやルールの廃止など四つの見直し案を検討し、今年秋をめどに結論を出すとしている。

 こうした環境下で学生の意識はどう変化したか。41回目となる就職人気企業ランキングから分析していこう。

 文系男子では、三井物産が15年調査以来の1位となったほか、三菱商事(2位)、伊藤忠商事(3位)、住友商事(5位)、豊田通商(9位)と、総合商社が軒並み上位にランクインした。世界を舞台に幅広いビジネスフィールドで活躍する商社パーソンに対する学生の憧れは根強く、総合商社人気は健在だ。

 1位の三井物産は、「一人ひとりの『挑戦と創造』」を採用コンセプトに掲げ、フォローアップ型インターンシップと題して、1泊2日とフォローアップの1日を組み合わせた合計3日間のインターンシップを開催。開催地も全国6都市に拡大するなど、学生との接点を大幅に増やしたことが人気を集めた要因の一つであろう。

 2位の三菱商事はキャリア教育イベント「1Day Business Workshop」を開催。1日で商社ビジネスを理解できる体感型ワークショップと社員との交流会は「商社ビジネスのダイナミズムを感じられた」「先輩社員の志の高さに感銘を受けた」と好評だ。

 金融業界の人気は明暗が分かれた。前述の通りメガバンク3行をはじめとする銀行業界は、マイナス金利の継続に伴う国内マーケットにおける事業環境の厳しさや、AIやRPA(ロボットによる業務の自動化)の活用による大幅な業務量の削減、国内店舗数の減少など将来的な人員削減が予測されるため、その影響からか1992年調査以来、26年ぶりにベスト10から姿を消した。

 一方で生損保・証券業界に対する人気は、4位東京海上日動火災保険、6位三井住友海上火災保険、7位日本生命保険、8位大和証券グループと堅調である。

 4位の東京海上日動火災保険は昨年秋に初めて「TOKIO MARINE 1DAY WORKSHOP」を実施。ビジネスコンテスト、リスクコンサルティング、デジタルイノベーションの3コースを設け、2月の5日型インターンシップへ誘導するなど、これまで取り込めなかった学生との接点を増やし、より多くの学生を受け入れたことが人気の継続につながったのであろう。

 7位にランクインした日本生命保険は、インターンシップを全国各地で開催し、屈指の動員数を誇っている。参加した学生からは、「自分がどんな職種に向いているか分かった」「将来どのように働きたいか考えるよいきっかけになった」といった声が聞かれ、人気を集めていた。

 大和証券グループ(8位)は昨年12月から多様なインターンシップを行っており、特に2月のホールセール部門に特化したプログラムは学生の評価が高い。

 東京オリンピック・パラリンピックを控え、在京の大手不動産デベロッパーの人気も顕著だ。初めてベスト10にランクインした森ビルは、「国際新都心・グローバルビジネスセンター」をテーマに東京都港区(虎ノ門エリア)の大規模な都市再生プロジェクトを進めていることや、昨年開業した大規模複合施設「GINZA SIX」を手掛けるなど、話題性のあるプロジェクトにより学生の認知が高まったことが人気の上昇につながっているようだ。