学校教育のブラックぶりがクローズアップされている。しかし、これを「質の悪い教員が増えている」と考えるのは、少し短絡的だ。カウンセリングサービス所属の心理カウンセラー・近藤あきとし氏に、教育現場に蔓延するブラックの真相を聞いた。(清談社 岡田光雄)

経済の長期低迷により
日本全体がブラック化

職員会で吊るし上げ、羞恥刑…教職のブラック化が学校を荒ませる.今、教員の職場環境はブラックになっている。子どもへのブラック対応を糾弾する前に、教職のブラック化を改善しなければ根本解決にはならない

 東京都中央区立泰明小学校がアルマーニの高級服を標準服に導入した問題や、大阪府立高校が、茶色い地毛の女子生徒に対して黒染めを強要した問題など、「ブラック校則」が話題となっている。

 近年はいたるところで、このように頭に“ブラック”が付く言葉を聞くようになった。「ブラック」+「企業、社員、バイト、校則、教師、部活」など枚挙にいとまがない。

 これらのブラックシリーズには、“理不尽の強要”という共通性がある。

「今や日本そのものが“ブラック化”しており、人々は何らかの理不尽を強いられて不安を抱いているようです。ほとんどの人は心に余裕がなく、自分が攻撃されないために責任を押し付けたり、犯人探しに注力している状況にも見えます。ブラック企業でよくある“吊るし上げ会議”や、芸能人の不倫叩き、度重なるCM炎上なども、その一連の現象かもしれませんね」(近藤氏、以下同)

 近藤氏は、「これらの連鎖が始まった主な発端は、日本経済の低迷にあるのではないか」と考えている。1991年のバブル崩壊以降、日本はデフレ不況に陥り企業業績が悪化。派遣切りなども相次ぎ、人々の心に余裕がなくなっていった。経済不安はやがて、人々の生活や教育の場にも浸食していったのだ。