もっとも、フリーキャッシュフローがマイナスになったからといって問題にならないこともある。例えば、大型設備投資を行った場合、投資した期は投資キャッシュフローのマイナス幅が大きくなり、フリーキャッシュフローはマイナスになるが、それが妥当な投資であるなら、3~5年のスパンで見れば売上高の拡大、コストダウンにつながり、営業キャッシュフローが増加し、フリーキャッシュフローはプラスになる。

有利子負債が0
キャッシュをためて研究開発に積極投入

 さらに、任天堂のようにストックが豊富な場合、09年3月期以降、5期もフリーキャッシュフローがマイナスになったにもかかわらず、経営危機に陥ることもなく、研究開発費を減らすこともなかった。本業で稼いだキャッシュをため込み、無借金経営を貫いてきたためだ。17年3月期の有利子負債は0だ。その結果、自己資本比率も85%と高い。

「明日がどうなるか分からない産業に銀行がまともに貸してくれるはずがない」という山内氏の考えが根底にある。年間で稼いだキャッシュを投資に回さず、いつでも使えるようにストックしておき、赤字になったときには銀行から借りずにストックから補填するという格好だ。

 実際、同社の現金および現金同等物の期末残高は、過去最高益を計上した09年には8941億円あったが、17年3月末には3309億円に減少している。

 山内氏からの指名で就任した岩田聡前社長(故人)も、過去最高益や3期連続の赤字を経験したが、強いバランスシートを守った。