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岸博幸のクリエイティブ国富論

ゴールドマンとグーグルから学ぶ消費税増税の問題点

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第179回】 2012年3月23日
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 最近、ゴールドマン・サックス、グーグルという米国を代表する企業の幹部が「なぜ自分が会社を辞めたのか」という手記を公表しました。これらについては日本でも一部で報道されましたが、大事なインプリケーションは全然伝えられていません。それは、ゴールドマンやグーグルが直面している問題点は、野田政権が目指す消費税増税にもそのまま当てはまるということです。

ゴールドマン・サックスと野田政権の類似点

 ゴールドマン・サックスの役員であったグレッグ・スミス氏は、3月14日に同社を退社しましたが、その当日にNew York Timesに「なぜゴールドマン・サックスを辞めるのか」という手記を公表しました。

 この手記は米国では大きな話題になりましたが、日本では日経が簡潔に報道しただけです。しかし、この手記には重要なインプリケーションがたくさん含まれており、そうした短い報道で済ませるべきではないと思います。個人的に重要と感じた点は以下のとおりです。

 「問題は、顧客の利益が脇に追いやられ、ゴールドマンが金を稼ぐことばかりが優先されるようになったことだ」

 「かつては、リーダーシップとは考え方についてのものであり、事例を示して正しいことを行うことこそが大事だったのに、今はゴールドマンのためにどれだけ金を稼いだかで出世が決まるようになってしまった」

 「今の経営陣は、“顧客の信頼を失ったら、いつかその顧客はゴールドマンとのビジネスを止める。ゴールドマンがいかに優秀かはまったく関係ない”という当たり前の真実を理解していない」

 「経営陣が自社の金儲けばかりを優先するので、経営陣を見ている若手社員もそれとまったく同じ行動をするようになってしまっている」

 「モラルが崩壊している社員はいくら金を稼ごうとも追い出して、かつての顧客重視の文化を取り戻すべきだ。金儲けにしか興味がない社員ばかりでは、会社は長く続かないし、顧客の信頼も得られない」

 これらの発言は企業の社会的使命という観点から非常に重要な問題を指摘していますが、冷静に考えると、今の野田政権にも同じ問題が当てはまるのではないでしょうか。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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