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岸博幸のクリエイティブ国富論

間違った社会保障・税一体改革が進む前に
消費税増税の問題点を整理する

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第168回】 2012年1月6日
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 消費税の増税を含む社会保障・税一体改革の素案が、6日に開催される政府・与党の社会保障改革本部で正式決定されようとしています。しかし、新聞などのメディアでは一体改革の問題点がしっかりと整理されていないように思えますので、改めて整理しておきたいと思います。

バラマキを続けながらの増税

 今回の一体改革による消費税増税には、3つの大きな問題点があると思います。その最大の問題は、社会保障の赤字ばかりに世間の注目を集めて増税を正当化しようとしていることです。

 政府の説明では、高齢者3経費(年金、介護、医療)の不足額が2011年度で10兆円であり、2015年度に13.4兆円に達することから、その穴埋めのためには消費税の5%増税(1%当たり2.7兆円×5)が必要と主張されています。

 この数字だけを見るともっともらしいのですが、政府の予算全体を見ると、必ずしも説得的ではありません。政府の一般会計の予算額(2010年度までは補正予算を含む公式の決算額、2011年度は当初予算と補正予算の合計額、2012年度は当初予算に復興特別会計と年金国庫負担の交付国債を加えた額)の推移は以下のとおりです。

 2006年度  81.4兆円
  2007年度  81.8兆円
  2008年度  84.7兆円
  2009年度  101.0兆円
  2010年度  95.3兆円
  2011年度  107.5兆円
  2012年度  96.7兆円

 2009年度はリーマンショック、2011年度は東日本大震災という特殊要因がありましたので、予算額が大きく増えてやむを得ません。それらを除外して考えると、2006年度や2007年度は81兆円台で推移していた一般会計予算が、2010年度には95兆円台にまで膨張しています。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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