そこで筆者が考えるのは、法改正によって実施が可能になった「個人型確定拠出年金への小規模事業主掛金納付制度」の活用である。

 この制度は、企業年金の実施が困難な小規模事業主(従業員100人以下)について、従業員の中で個人型確定拠出年金に加入している人に対し、拠出限度額の範囲内で事業主による“追加拠出”を可能とするものだ。

 日本で確定拠出年金が始まった2001年当時、よく「日本版401k」と言われたが、日本の確定拠出年金と米国の401kプランは、似て非なるものだった。ところが今回の法改正で実現したこの「小規模事業主掛金納付制度」こそ、まさに日本版401kと言っても差し支えない制度なのだ。

 これなら、従業員が任意で「個人型」に加入することで、給与として支払われたお金の中から積み立てをするため、社会保険料は労使共に減らないが、加入者にとって税金は大幅に少なくなる。

 しかも、企業型と違って企業側の事務的な負担も軽い。まさに、従業員のために会社が少しの金額でも上乗せして老後の備えをサポートする仕組みだから、自助努力による老後資産形成をまともな形でサポートする質のいい制度と言えよう。

 中小企業に勤める多くの従業員にとって、「給与内枠選択制確定拠出年金」のような筋の悪い制度より、真に従業員の将来にとってメリットがあるこうした制度の拡大が望まれるところである。

(経済コラムニスト 大江英樹)