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吉田恒のデータが語る為替の法則

なぜ、ドル高に変調の兆しが出始めたか?
米長期金利「2.4%」が大きな分かれ目に

吉田 恒
【第201回】 2012年3月26日
著者・コラム紹介バックナンバー

 今回は、「なぜ米ドル高変調の兆しが出始め、何をもっとも注意しなければならないのか?」といったテーマについて考えてみたいと思います。

 結論的にいうと、79円を米ドルが大きく割り込む感じにならない限りは、米ドル高・円安の調整的な米ドル反落ではないかと思っています。

投機筋の米ドル買い・円売りが
2月上旬から本格化

 2月から続いてきた米ドル高・円安もさすがに変調の兆しが出てきました。

米ドル/円 日足
リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足

 これは、この米ドル高のリード役であるヘッジファンドなど投機筋に米ドル「買われ過ぎ」懸念が出てきたといった意味では、個人的には当然であると思います。

 まずは、「資料1」をご覧ください。

 これは、ヘッジファンドの取引を反映しているCFTC統計の投機的円ポジションです。

資料1

 この「資料1」を見ると、投機筋の米ドル買い・円売りが、2月上旬から本格化し、ここまで続いてきたことがわかるでしょう。

 今回は、2010年以降では4度目の本格的な投機的米ドル買い局面となっているわけです。

米ドル買い拡大の一因は、
米ドル120日線の上抜け

 ではなぜ、ヘッジファンドなど投機筋の米ドル買いは2月上旬から本格化したのでしょうか?

 日銀がインフレ目標の採用を決定したタイミングとも重なっていますが、もう1つ、米ドルが120日移動平均線(以下、120日線)を上抜けたタイミングとも重なっていました。

 「資料2」は、米ドル/円とそんな120日線のグラフです。

資料2

 これを見ると、米ドルは2月上旬から、まさに120日線を完全に上抜けてきたことがわかるでしょう。

 この120日線は、ヘッジファンドの中でも、特にシステム売買を行うモデル系ファンドが重視するとされているものだということを、このコラムでこれまでも何度か紹介してきました。

 このように見てくると、2月上旬からヘッジファンドなどの投機筋の米ドル買いが本格拡大したのは、当時、米ドル売り・円買いに大きく傾斜していた中で、米ドルが120日線を上抜け、米ドル買いへの戦略転換を余儀なくされたことが一因だったと言えそうです。

一転、米ドル「買われ過ぎ」警戒域に

 ところで、上の「資料2」のように、その後、米ドルは120日線を大きく上回って最近に至っています。

 そういった中で、ヘッジファンドなど投機筋の米ドル買いも続き、先に示した「資料1」のように2月までの米ドル「売られ過ぎ」が是正されただけでなく、最近では一転して米ドル「買われ過ぎ」警戒域に入りつつあったわけです。

 そうなってくると、いくら米ドルが120日線を上回っているから投機筋が米ドル買いの方針を変えていないとはいえ、依然として、金利差という裏付けの弱い中での米ドル買い・円売りの継続は、さすがに試される局面にあったと言えるのではないでしょうか(「資料3」参照)。

資料3

 以上のように見てくると、今週(3月19日~)に入ってから米ドル高・円安に足踏みが目立ち、変調する兆しも出てきたのは、金利差という裏付けの弱い米ドルの「買われ過ぎ」の修正が始まっているということが1つはあるでしょう。

 ただ、先ほど述べた…

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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