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山崎元のマネー経済の歩き方

運用における「口コミ」の影と光

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第220回】 2012年4月2日
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 お金の運用にあって、いわゆる「口コミ」による情報は、大きな影響を及ぼすことがある。

 生命保険や投資信託で、知人から、「私も持っている」と称する商品を薦められたり、「信頼できる」というセールスマンを紹介されたりしたことがきっかけで、大きなお金を動かす人が少なくない。

 推薦する当人にもちろん悪意はなく好意から薦める場合が99%以上だろうが、自分が行った意思決定について、他人が認めて同調してくれることで承認してもらいたいといった心理も働くので、推薦する側は熱が入る。

 一方、口コミを聞く側では、同調者がいる点で既に気が楽だし、もうけ話はどこにでも転がっているものではないという先入観があるので、限定的に伝わってくる口コミ情報には期待を寄せやすい。

 マーケティングの立場から考えると、口コミ情報は極めて強力な武器だ。例えば、先般問題化したAIJ投資顧問の事件にあっても、本来運用のプロであるべき年金基金が、得体の知れないブラックボックス運用に、中身を確かめずに大切な年金資金を投ずるに当たっては、基金に多くいる旧社会保険庁出身者の口コミによる情報が大きな影響力を持っていたようだ。運用担当者は先輩や同業者から聞いた情報だから、信用しても大丈夫だと信じ、「いい話だ」とも思ったのだろう。

 相場の判断でも、口コミは大きな影響力を持つ。プロの運用者の間でも、同僚、先輩、同業者などが語る相場観が何となく気になって、自分と同じ相場観を聞いて安心したり、逆の話を聞いて急に不安が芽生えたりすることがないわけではない。アマチュア同士でも影響を受けるし、アマチュアがプロ(と名乗る人)の意見を聞くと、影響が過剰なものになる場合が少なくない。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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