民主党執行部は28日未明、消費税増税法案の最終修正案を提示し、政調合同会議での議論を打ち切った。同法案は30日に閣議決定されて国会に提出される見通しだ。

 最終修正案では、①再増税条項は削除、②景気条項では数値を入れるものの、それを増税実施の条件としない、こととなっている。これらは、野田佳彦首相と前原誠司民主党政調会長との間でまとめられたと言う。

 首相の出席を待たずに議論を打ち切ったことは前原氏の手柄と言うことだろう。

成長率は「努力目標」に
増税反対派の完敗か

 さて、景気条項は次のように修正された。

「2011年度から20年度までの平均で名目3%、実質2%程度を目指した望ましい経済成長の在り方に早期に近づけるため総合的な施策を実施する」

 こんな意味不明な条項を本当に法案に書き込むのか。しかも、これは「努力目標」であって「条件」ではないらしい。

 これなら、あいまいな言葉でも「景気の好転」を明確な条件とするほうがまだましである。民主党内では、増税反対派が完敗したと言われても仕方ない。

 こうなったのは、反対派が政府の用意した景気と再増税の2つの土俵に乗っていたからだろう。やはり、反対派が逆に行政改革の土俵に政府を乗せなければこうならざるを得なかった。

民主・自民大連立は“幕末の公武合体論”
“討幕派”第3勢力の勢いを強めるのみ

 野田首相や執行部が強気になった理由は、最近の世論調査で支持率低下に歯止めがかかったような調査結果が出ているからだろう。