第一印象で「あ、なんとなく○○そうな人だな」と思うとき、みなさんは相手のどんな点を見ているのでしょうか。はっきりと意識はしていなくても、おそらくパッと見て挨拶を交わしたあたりで、「こんな人なのかな」と感じ、そのあと話したり、何度か会っていくうちに、その印象が変わったり、もとの印象どおりだったりはいろいろでしょう。でも、最初に受けた印象のインパクトというのは後々までかなり強く残りやすいものです。メディアトレーナー、ボーカルディレクターとして、芸能界のトップアーティストを指導する「表現」のプロである中西健太郎さんの新刊『姿勢も話し方もよくなる声のつくりかた』のなかでは、そんな第一印象の決め手を考えていきます。

 みなさん、第一印象は何で決まると思いますか。

 顔立ち? 表情? 服装?

第一印象は何が決めるのか?

 いろいろと目に映るものはありますが、僕は「声と姿勢」が印象を左右する最大の要因だと思います。

 えっ、「第一印象」なのに、声なの? 姿勢はともかく声って見えないじゃないか、と驚いた人もいるかもしれません。
 実は見た目はもちろんながら、声の調子でも、相手もそうと気づかず無意識のうちに判断しているのです。

1. 声の調子を聞き、
2. パッと見た印象で、

 「この人、なんとなく優しそうだ」
 などと、相手は無意識のうちに予想しています。

 それは声や姿勢から発せられる温かさやエネルギーから、たぶんこういう人だろうなあと想像して、信頼できそうか、もっと話を聞いてみたいと思うのか判断するわけです。人によっては、声や姿勢からいわゆる波動やオーラといわれるようなものを感じる人もいるかもしれません。
 みなさんも同じような経験をおもちではないでしょうか。

 まず声については、何を話すかという内容ももちろん大切ですが、案外みんなが判断しているのはその音の大きさや調子、話し方や表情、姿勢だったりします。
 いつもどおり「おはようございます」と挨拶したつもりなのに、「どうしたの? 具合悪いの? 元気ないね」なんて言われたこと、ありませんか?
 睡眠不足で目覚めも悪かった、二日酔いだった、嫌なことがあって頭から離れないなど……さまざまな心情や、ちょっとした体調の崩れが、知らず知らずのうちに「おはようございます」に出てしまっていたのかもしれません。
 そして、あなたの「おはようございます」から、相手は無意識のうちに「あれ? 元気ないな」と一瞬でパッと感じるわけです。
 この「無意識に相手が感じること」を今度は「意識的に」やってみるのです。

 前日に「具合悪いの?」と心配されたとします。であれば、今日は意識して、いつもより元気よく「おはようございます!」と言ってみてください。
 「よかった、風邪治ったみたいだね」「今日は調子が良さそうですね」
 そんなふうに、相手は反応すると思います。
 挨拶ひとつでも、ちょっと意識を向けて声を出すだけで、相手が抱く印象はガラリと変わるということです。いわれてみれば当たり前のこと、と思うかもしれません。でも、本当に普段からできている人はほとんどいないのです。

 では、相手に自分の話を聞いてもらいたいと思ったときは、どうすればいいのでしょうか。
 答えはシンプルです。
 相手が話を聞きたくなるような、気持ちのいい声を出すこと。感じのいい声と話し方をする人の話には、誰もが自然と聞き入ってしまうはずです。

 もちろん、仮に第一印象が悪くても、その後にじっくり付き合うことで悪印象を覆すことは可能です。ただし、人の直感を覆すというのは意外と難しいものです。
 だったら、最初からよい印象をもってもらうに越したことはないですよね。
 意識さえできていれば、それは可能なのです。

まず、なぜ声と姿勢には、それほどの威力、いえ「魔力」と言えるほどの力があるのでしょうか。

 理由は2つある、と僕は思います。
 第一に、声と姿勢はその人のもつエネルギー量を表すからです。
 人間を含めて、どんな生物も、生きていくためにエネルギーを必要としています。結果、エネルギーの高いものに引き寄せられていく性質があるのです。おいしい食べ物、鉱物、お金、明るいところ(光)。人間も、エネルギーが旺盛な人のまわりには、人がたくさん集まります。そのエネルギーの高低を端的に感知できるのが、声と姿勢なのです。
 第二に、特に声は、その人のセルフイメージにも非常に大きく影響します。いじいじした声で話していると、24時間それを聞いている自分はますますいじけた気持ちになっていきます。たとえば、隣にいる人が24時間ずーっと、

「ああ、だるい。疲れた。今日も会社か。休みたいな。お腹空いたけどお金ないな」……なんどと言い続けていたらどうでしょうか。こちらまで気が滅入ってきますね。

 自信がなさそうな声で話したり、ネガティブなことばかり言っている人は、自分のすぐそばにネガティブな人がいて、ずーっとネガティブな言葉を耳元でかけられているのと同じ。これでは自分に自信がもてなくなって、気持ちが落ち込み、セルフイメージもどんどん下がるのは当然でしょう。内面が後ろ向きになると、それが第三者に伝わらないはずがありません。

 でも、常に生き生きと声を張って、気持ちのいい声でポジティブな言葉を使って話している人は、そういう前向きな人がずっと一緒にいてくれるのと同じ効果があるのです。つまり、どんな声(トーンやニュアンスも含めて)を出して、どういう言葉を使っているかで、その人がもつセルフイメージは作られてしまうのです。

 おわかりにのように、声と姿勢がエネルギー量を表すことと、セルフイメージを形作ることは“鶏と卵”のような関係です。第一印象で声と姿勢に勢いがあるような人は、常に明るくて晴れやかな気持ちを維持できるし、明るくて晴れやかな気持ちを維持できている人は、声と姿勢に勢いがある、といえます。

 つまり、少しでも自分の「声」に自信がない人が発声のトレーニングをすれば、気持ちが前向きになるなど、内面から変われます。いいことづくめだと思いませんか。具体的な発声法やトレーニング法については次回からご紹介していきます!