Photo:Yusuke Hishida

「怖い国、拉致する国、嫌な国。テレビで平壌の映像が流れると、日本の僕たちは、北朝鮮を先入観で見てしまう。「変な国だ」と切り捨て、思考停止してしまう。でも、そこに映る人々の顔を見て『この人たちも人間なんだ』と思えるかどうか」

 アメリカのトランプ大統領は、米朝首脳会談に応じると表明する一方、シリアをミサイルで爆撃し、北朝鮮への軍事攻撃も辞さないとの構えを見せる。「広島に原爆を投下したエノラ・ゲイの搭乗員に、広島の人々の表情はまったく見えていなかったでしょう。そういうことを思い描けない世の中は不幸だと思うんですよね」

2018年4月27日、板門店の軍事境界線をはさんで握手する北朝鮮の金正恩・国務委員長(左)と韓国の文在寅大統領(朝鮮労働新聞HPより)

 2018年、朝鮮半島情勢は急転した。4月27日の南北首脳会談では、年内に朝鮮戦争を終結させると宣言した。68年間、南北が銃を構えて向き合ってきた軍事境界線も、その役割を終えるかもしれない。

「7年間の撮影を通じて、南北の境界線を挟んだ写真にだんだん『違い』がなくなってきていると感じていた。今後、違いはさらになくなっていくのかもしれない。劇的な変化に正面から向き合い、固定化した北朝鮮に対する価値観に一石を投じていきたい」

(朝日新聞社会部記者(東京総局) 元ハフポスト日本版ニュースエディター 吉野太一郎)