日本屈指の名門病院に
労基署調査が入り調査

 2016年、日本屈指の名門病院である聖路加国際病院に労働基準監督署の立ち入り調査が入った。同調査では、「医師の時間外労働過多」および「時間外労働に対する不適切な賃金支払い」を指摘され、是正勧告を受けた。

「時間外労働の削減」を厳しく求められた結果、病院は2017年から土曜外来の大幅縮小や救急車受け入れ制限を余儀なくされた。不適切な賃金支払いに関しては、「病院側が十数億円を追加で医師に支払った」との報道もある。

 この騒動に、日本中の病院管理職は震えあがった。多くの大企業同様に、日本の病院は労働基準法違反だらけであり、サービス残業も公然の秘密である。

「当直は労働時間として計算し、時間外労働は月45時間以内を厳守」という労基署の指導は、研修希望の若手医師が殺到する、東京都心の人気ブランド病院だからこそ対応できたのだ。同様の指導が医者確保に苦労している地方医大に行われたら、経営破綻しかねない。

 救急車受け入れ制限という対策も、多数の総合病院が林立する都心だからできること。地方で実行するのは困難だ。診療レベルの維持と勤務医の労働時間制限の両立に関しては、厚労省も労基署も明確な指針を示してはくれない。

 このころから、聖路加のみならず大学病院や公立病院に対しても労基署調査が入るようになる。2017年放映の「ドクターX シーズン5」でも早速、「サービス残業を強要されそうになった研修医が『労基署……』と呟き、定時帰宅」というシーンが登場した。