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金融市場異論百出

英国ロンドン金融街シティが
人民元切り上げ要求しない理由

加藤 出 [東短リサーチ取締役]
2012年4月12日
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 「人民元の水準は均衡レートに近づいたかもしれない」。温家宝首相や周小川・中国人民銀行総裁ら中国の高官は、そういった発言を繰り返している。その発言の最大の意図は、人民元切り上げを要求し続ける米国に対する牽制にある。しかし、それだけでなく、実際に昨年来、資金フロー上に変化が生じている。海外からのネット流入が何度かネット流出に転じている。

 資金フローが変化した背景には、市場の人民元高観測が一時後退したこと、輸出の減少、人民元建て貿易の増加によって実需の外貨売りが減少したことなどがある。最近はネット流入に戻ったが、数年前ほどの大きさではない。人民銀行からは「ホットマネーの流入が減って、国内金融調節がやりやすくなった」と現状を歓迎している様子が感じられる。

 ところで、李克強副首相は、昨年10月に香港で行った演説の中で、人民元オフショア市場創設の意向を明らかにした。人民元改革を国際的にアピールする必要性と、人民元建て貿易の拡大で海外保有の人民元が増えてきたことがオフショア市場創設の動機である。

 国際決済銀行(BIS)は最近の論文で、「人民元オフショア市場が拡大して、中国企業が同市場で債券を発行するようになると、中国国内で過剰流動性が再び激しくなる恐れがある」と指摘した。将来的にはその可能性は否定できないが、当面の中国当局は、国内の金融規制が無力化してしまうほど野放しにオフショア市場を急拡大させることはないだろう。

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加藤 出 [東短リサーチ取締役]

東短リサーチ取締役チーフエコノミスト。1988年4月東京短資(株)入社。金融先物、CD、CP、コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを 2001年まで兼務。2002年2月より現職。 2002年に米国ニューヨークの大和総研アメリカ、ライトソンICAP(Fedウォッチ・シンクタンク)にて客員研究員。マネーマーケットの現場の視点から各国の金融政策を分析している。2007~2008年度、東京理科大学経営学部非常勤講師。2009年度中央大学商学部兼任講師。著書に「日銀は死んだのか?」(日本経済新聞社、2001年)、「新東京マネーマーケット」(有斐閣、共著、2002年)、「メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場」(ダイヤモンド社、2004年)、「バーナンキのFRB」(ダイヤモンド社、共著、2006年)。


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