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自己責任論の下に過消費を誘発する
焼畑ビジネスモデルに明日は創れるか
――ソーシャルゲームの何が問題か【前編】

石島照代 [ジャーナリスト],小山友介 [芝浦工業大学システム理工学部教授]
【第28回】 2012年4月17日
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 ディー・エヌ・エーとグリーの二社が牽引する、いわゆるソーシャルゲームの2011年推定市場規模は約2856億円で、今年2012年は4643億円、2013年に至っては5766億円まで成長する見込みという(以上、三菱UFJモルガン・スタンレー証券のレポートによる)。一方、任天堂、ソニー、マイクロソフトがハードを提供する家庭用ゲーム機市場は3000億円程度なので、今年は市場規模が逆転する可能性もあるようだ。

 だが、それだけの勢いを持つ一方、様々な問題が社会問題化しつつある。たとえば、未成年者問題、換金が可能なRMT(リアルマネートレード)問題、そして、「ガチャ」と呼ばれる仕組みによる過消費問題などである。なかなかの問題山積ぶりであるが、ソーシャルゲーム市場は予想通り成長するのだろうか。

「ソーシャルゲームは、パチンコみたいなもの」
三菱UFJモルガン・スタンレー証券リポートの衝撃

 なぜ、ソーシャルゲーム市場は今年4000億円市場にまで成長すると考えられているのだろうか。その根拠のひとつに、約20兆円の市場規模を誇るパチンコ・パチスロ産業との類似がある。

 3月9日、19日に発表された三菱UFJモルガン・スタンレー証券リポート(以下、三菱モル・スタ証リポート)「ソーシャルゲームの正体を探る(V)」の中身は衝撃的だった。ソーシャルゲームを「『≒(ニアリーイコール)パチンコ』という見方に変更する」とし、ソーシャルゲーム関連企業を従来のオンラインゲームではなく、パチンコ産業と比較検討するという内容だったためだ。

 執筆者の荒木正人シニアアナリストはパチンコとソーシャルゲームの共通点として、次の4点を挙げている。

 1.RMT(リアルマネートレード)による現金化期待
  2.人ではなく端末(機械)相手に遊ぶこと
  3.ある確率のもとで(電子クジである)ガチャを引くこと
  4.同一ゲームシステムにおける「皮替え」が行われていること

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石島照代 [ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

 

小山友介 [芝浦工業大学システム理工学部教授]

1973年生まれ。芝浦工業大学システム理工学部教授。2002年京都大学大学院博士課程修了。博士(経済学)。東京工業大学助教等を経て現職。東工大時代に経済シミュレーション研究に従事、そこで学んだコンピュータサイエンスの知識を生かしてゲーム産業研究を行なう。専門はゲーム産業を中心としたコンテンツ産業論と社会情報学。2016年6月末に『日本デジタルゲーム産業史』 (人文書院)を刊行。

 


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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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