ディー・エヌ・エーとグリーの二社が牽引する、いわゆるソーシャルゲームの2011年推定市場規模は約2856億円で、今年2012年は4643億円、2013年に至っては5766億円まで成長する見込みという(以上、三菱UFJモルガン・スタンレー証券のレポートによる)。一方、任天堂、ソニー、マイクロソフトがハードを提供する家庭用ゲーム機市場は3000億円程度なので、今年は市場規模が逆転する可能性もあるようだ。
だが、それだけの勢いを持つ一方、様々な問題が社会問題化しつつある。たとえば、未成年者問題、換金が可能なRMT(リアルマネートレード)問題、そして、「ガチャ」と呼ばれる仕組みによる過消費問題などである。なかなかの問題山積ぶりであるが、ソーシャルゲーム市場は予想通り成長するのだろうか。
「ソーシャルゲームは、パチンコみたいなもの」
三菱UFJモルガン・スタンレー証券リポートの衝撃
なぜ、ソーシャルゲーム市場は今年4000億円市場にまで成長すると考えられているのだろうか。その根拠のひとつに、約20兆円の市場規模を誇るパチンコ・パチスロ産業との類似がある。
3月9日、19日に発表された三菱UFJモルガン・スタンレー証券リポート(以下、三菱モル・スタ証リポート)「ソーシャルゲームの正体を探る(V)」の中身は衝撃的だった。ソーシャルゲームを「『≒(ニアリーイコール)パチンコ』という見方に変更する」とし、ソーシャルゲーム関連企業を従来のオンラインゲームではなく、パチンコ産業と比較検討するという内容だったためだ。
執筆者の荒木正人シニアアナリストはパチンコとソーシャルゲームの共通点として、次の4点を挙げている。
1.RMT(リアルマネートレード)による現金化期待
2.人ではなく端末(機械)相手に遊ぶこと
3.ある確率のもとで(電子クジである)ガチャを引くこと
4.同一ゲームシステムにおける「皮替え」が行われていること