「明日やろう」「新年度から始めよう」「締切が近づいたら手をつけよう」……私たちが、普段の生活や仕事の中でついやってしまうのが「先延ばし」だ。この悪癖は、私たちの成功を阻む大きな要因のひとつでもある。そんな人生の大敵であり、私たちの自己実現を阻む「先延ばし」について語った不朽の成功バイブル『DOING IT NOW』がついに日本で邦訳される。今回は、その邦訳版である『DO IT NOW いいから、今すぐやりなさい』から、「先延ばし」を打開するノウハウを紹介していく。

汚いデスクが生産性を下げる

エドウィン・ブリス
アメリカの元経営コンサルタント。それ以前に新聞記者、編集者、上院議員秘書、ロビイストを経験。先延ばし癖と時間管理に関するセミナーを全米各地で開催して好評を博した。哲学、文学、歴史、心理学に造詣が深い。著書に『DO IT NOW いいから、今すぐやりなさい』(ダイヤモンド社)などがある。現在、引退してカリフォルニア州で暮らす。

 仕事道具がきちんと整理整頓されていると、「これから仕事に取りかかろう」という前向きな気分になります。整理整頓された机は集中力を高めますが、散らかっている机は集中力を乱してしまいます。

 ここで、「机の上が散らかっている」という意味を明確にしましょう。それは書類がたくさん置いてあるという意味ではありません。当面の課題に関する書類が置いてあるなら、それは必要なものが並べられているだけです。たいていの場合、仕事ができる人の机は散らかっているように見えて、必要な書類が並べられているのです。これは問題ありません。

 しかし、不要な書類が机の上にたくさんあるのは別です。これでは1つの課題に集中できません。先延ばし癖を直すためには、ほかのことに注意をそらさないようにすべきですが、手紙や報告書、メモ、雑誌があたり一面に散らかっていると、集中力を維持するのは至難のわざになります。先延ばし癖のある人にとって、散らかっている環境は乱雑な思考につながり、やるべきことを延期しやすいのです。才能のある人はごちゃごちゃした環境でも集中力を維持して成果をあげることができますが、そういう人はごくまれです。

書類整理の三原則は「すぐやる、誰かに任せる、捨てる」

 オフィスで働いているなら、毎晩、仕事を切り上げる前に机の上を片づける習慣を身につけましょう。散乱している書類をひとまとめにするのではなく、毎晩、退社するときに机の上に紙が1枚もないようにするのです。もちろん、すべてを引き出しの中に押し込むことを提唱しているのではありません。ほんの数分間かけて、すべてを机の上からどけて既決箱や未決箱、ゴミ箱などに入れましょう。

 書類を処理するときは、「すぐやる、誰かに任せる、捨てる」の3原則を心がけます。とにかく、「あとで処理する」というパターンを避けるようにしてください。たまにはそうせざるをえないこともあるでしょうが、「正当な先延ばし」と「不当な先延ばし」の区別は紙一重です。できる限り、この三原則に従うようにしましょう。こうすることによって、仕事に追われることは減り、デスクまわりの環境も整うことで、あなたの仕事のスピードはさらに加速するはずです。