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岸博幸のクリエイティブ国富論

鳩山民主党政権が陥りかねない
「官僚依存の脱官僚」という安直路線

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第55回】 2009年9月11日
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 衆院選で民主党が圧勝して以来、マスメディアでは「民主党は“脱官僚”を出来るのか」というテーマがよく取り上げられています。私もいろいろなところでコメントをさせられるのですが、どうも取り上げ方が事件的で論点が明確になっていないように感じるので、ここで整理しておきたいと思います。

 私は個人的に、民主党が“脱官僚”をどう進めるかをウォッチする場合、3つの論点があると思っています。

 第一の論点は、“官僚依存の脱官僚”にならないかということです。国家権力について三権分立ということがよく言われるように、立法と行政は本来独立の関係のはずなのです。従って、理想的な“脱官僚”の姿は、立法の側で政策の方向性を決め、行政は決められた方針を執行する、となるはずです。その実例もあります。「骨太の方針2006」は、当時の自民党の中川秀直政調会長が、財務省他の官僚を呼びつけて情報を提供させ、党主導で策定されました。立法が行政をリードすることは不可能ではないのです。

 しかし、民主党はそうした理想的な姿は採用せず、立法の構成員たる国会議員が大挙して行政に入ると宣言しました。その場合に心配になるのは、官僚の巣窟に国会議員の側から入って行くと、結局は官僚に頼らざるを得なくなるのではないか、ということです。

 その場合に一番あり得るシナリオは、財務省や経産省といった主要官庁の力を借りて、その他の役所、例えば国交省・厚労省・農水省といった役所を血祭りにあげるという展開です。もちろん、それでも十分“脱官僚”の成果になり得るのですが、ある意味でそれは“官僚依存の脱官僚”とも言えるのではないでしょうか。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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