いよいよワールドカップロシア大会も決勝戦を残すのみとなった。
(テレビ放送は7/16午前0時、7/15深夜予定)
連日、熱戦が繰り広げられているなかで、決勝トーナメントに進み、
強豪ベルギーを一時は2-0で突き放す展開を見せた日本の活躍も忘れることはできない。

そんなサッカー日本代表・本田圭佑選手の専属分析官(アナリスト)の白石尚久氏。
専属分析官とは、本田選手と行動をともにして、彼個人の”戦術参謀”的な役割を担う仕事である。
41歳で本田選手の専属分析官となった白石氏のサッカー・キャリアのスタートは18歳。
驚くほど遅い。部活動未経験で大学の体育会サッカー部にさえ入れなかった彼は、
単身アルゼンチンに渡り、育成選手からコツコツとキャリアを積み上げていく。

そして、36歳の時にアジア人で初めて欧州1部リーグの監督(スペイン女子)に就任。
41歳でACミラン、パチューカ所属の本田圭佑選手(日本代表)の専属分析官に―。

異色のキャリアを持つ白石氏は、「才能というのは誰もが持っているもの」だと言う。
ではどうやって、自身の才能を見つければいいのだろうか?
本記事では、初の著書である『何かをやるのに遅いということは決してない。』から、内容の一部を再編集し特別公開する。(まとめ/編集部)

本田圭佑選手の専属分析官が気づいた、「それなりにできる」ことは「やりたい」ことではない<br />ワールドカップロシア大会。4強~決勝は欧州勢の戦いとなった。(写真は白石氏が7月よりアシスタントコーチ/テクノロジーストラテジストとしてのキャリアをスタートさせる、オランダ1部リーグSBVエクセルシオールの練習風景)

誰もが何かの才能を必ず持っている

正直、僕は自分にサッカー選手としての才能があるとは思っていない。
今でこそ、本田圭佑選手の専属分析官やアジア初のヨーロッパ内1部リーグのチーム監督といった経験があるものの、指導者としての才能があるかどうかもわからない。
ただひとつだけ言えるのは、「サッカーが好きで好きでたまらないという才能」があるということ。これだけは誰にも負けない。

人は自分のこと、とくに自分のいいところに気づかないことが多い。ほかの人を見て、「あの人、才能あるな」「めちゃめちゃ能力高いじゃん」と人の才能に気づくことはよくあるのに、自分のこととなると意識していないのか、卑下してしまうのか、「自分に才能なんてない」となってしまう。

非常にもったいない考えだと、僕は思う。
人は誰にでも、何かしらの才能がある。
ただ、自分で自分の才能に気づいていない人が多い
だけだ。

才能とは最初から与えられたものではなく、好きなものを見つけてそれに打ち込み、努力し続けた結果として身につく能力のことだと僕は考える。

であれば、何か好きなものがある人は、それだけで大きな才能を持っていることになる。好きなことをやっていると、時間を忘れて没頭できる。失敗しても、うまくいかなくても、それでもまたやりたくなる。そのことを考えただけでワクワクと胸が躍って楽しい気分になる。

もちろん、持って生まれた才能もあるだろう。
しかし、「好き」という根本的な才能があって初めて、天賦の才が開花するとも言える。