社会保障と税の一体改革を推し進める民主党は、消費税法案を閣議決定し、国会へ提出した。これに対して、自民党や与党内の反対派が反発し、国会は混乱している。2大政党に与しない「第三極」の目に、現状はどう映っているのか。「増税の前にやることがある」と主張し続ける渡辺喜美・みんなの党代表に、真に論じるべき日本の課題を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 編集長・原英次郎、小尾拓也 撮影/宇佐見利明)

「一体改革案」で見えた増税派の真意
これでは官僚主導の統治体制が温存される

――社会保障と税の一体改革を推し進める民主党は、消費税増税法案を閣議決定し、国会へ提出しました。これを受け、自民党や与党内の反対派が反発し、国会は混乱しています。みんなの党は、かねてより消費税増税に反対してきました。民主党の増税路線には、どこに問題があるのでしょうか。

わたなべ・よしみ/1952年生まれ。栃木県出身。衆議院議員、みんなの党代表。早稲田大学・中央大学卒業。父である渡辺美智雄議員の秘書を務めた後、96年自民党公認で衆議院議員初当選。2006年より内閣府特命担当大臣(行政改革・規制改革担当)を務める(2007年より金融担当兼務)。09年1月に自民党を離党し、8月に有志と共にみんなの党を結党、代表に就任。金融・財政分野に精通し、公務員制度改革は自身のライフワークになっている。

 消費税を上げたくて仕方がない人たちの真の魂胆は、日本の歪みの元となってきた官僚主導の中央集権的統治体制を温存すること。民主党は、「消費税は社会保障の財源にする」「少子高齢化で社会保障費が年々増加するから、増税が必要だ」という、まやかしの世論工作を行なってきました。

 しかし、社会保障と税の一体改革案が公表され、彼らの論理は脆くも破綻しました。増税分が全て社会保障の財源になるのではなく、他の財源に回されるなど、いい加減な中身が露呈したことにより、彼らの本音が透けて見えてしまったからです。

 そもそも、所得再分配は所得税の体系の中でやればよいのであって、そこに消費税を入れようとすること自体、隠された魂胆をうかがわせます。

――みんなの党は、「増税の前にやることがある」と主張し続けてきました。それは、具体的にどんなことですか。

 第一に、増税ばかりを急ぐのではなく、まずは財源として消費税をどう位置づけるべきかを見直すこと。目指すべき「国のかたち」を明確にして、税制のあり方を体系的に議論し、その上で消費税の役割を明確にすべきでしょう。