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西沢和彦の「税と社会保障抜本改革」入門

加入者の20%が保険料滞納する「国保」
その現状と政府改革案の問題点を突く

西沢和彦 [日本総合研究所調査部上席主任研究員]
【第11回】 2012年3月27日
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国民皆保険のラストリゾートである「国民健康保険」は加入者世帯の20%が保険料を滞納している。なぜそうなったのか。今回の社会保障・税一体改革は、どのような処方箋を提示しているのか。その現状と政府改革案の問題点を検証する。

 第8回から前回第10回まで、高齢化が進むもとでの高齢者医療制度の持続可能性に焦点を当ててきた。高齢者医療制度の財源は、現役健保からの所得移転に支えられており、高齢化が進むもとでそうした依存を極力抑制していくことが、高齢者医療制度改革の核心のはずであるが、政府・与党にはそうした視点が希薄であることを指摘した。今回は、健康保険制度のなかでも、国民健康保険(国保)に視点を移そう。

 わが国は国民皆保険であるとされているものの、それを手放しで喜べる状況にはない。国民皆保険のラストリゾートである市町村の国保は、支出の約半分の財源を公費に依存しながら、加入全2071万世帯のうち20%の414万世帯が保険料滞納世帯であるなど、深刻な状況にある。考えられる背景は何だろうか。また、今回の社会保障・税一体改革はどのような処方箋を提示しているのだろうか。

国保は今や自営業者ではなく
年金受給者と被用者の制度に

 わが国の健康保険制度は、1723の市町村がそれぞれ保険者となっている国保に、全国民が加入することを原則としつつ、被用者健保(組合健保、協会けんぽ、共済組合)および後期高齢者医療制度の加入者は、国保への加入から除外される仕組みとなっている(国民健康保険法第6条)。そのため、国保は、自営業者や農林漁業者のみならず、雇用形態上の理由や失業などにより被用者健保の適用とならない人の受け皿となっている。いわば、国民皆保険のラストリゾートの役割が期待されている。

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西沢和彦 [日本総合研究所調査部上席主任研究員]

ニシザワ カズヒコ/1989年3月一橋大学社会学部卒業、同年年4月 三井銀行入行、98年より現職。2002年年3月法政大学修士(経済学)。主な著書に『税と社会保障の抜本改革』(日本経済新聞出版社、11年6月)『年金制度は誰のものか』(日本経済新聞出版社08年4月、第51回日経・経済図書文化賞) など。(現在の公職)社会保障審議会日本年金機構評価部会委員、社会保障審議会年金部会年金財政における経済前提と積立金運用のあり方に関する専門委員会委員。


西沢和彦の「税と社会保障抜本改革」入門

増加する社会保障費の財源確保に向けて、政府は消費税引き上げの議論を本格化させている。だが、社会保障をめぐる議論は複雑かつ専門的で、国民は改革の是非を判断できない状態に置かれている。社会保障の専門家として名高い日本総研の西沢和彦主任研究員が、年金をはじめとする社会保障制度の仕組みと問題点を、できるだけ平易に解説し、ひとりひとりがこの問題を考える材料を提供する。

「西沢和彦の「税と社会保障抜本改革」入門」

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