HOME

メタボリック

肝臓

腰痛・肩こり

高血圧・高脂欠症

うつ・ストレス

ニオイ

薄毛

老化防止

禁煙

男の病気

視力回復で臨床応用が現実的に
特許ラッシュの高コストが障壁
ES細胞を使った再生医療

井手ゆきえ [医学ライター],-週刊ダイヤモンド編集部-
【第91回】

 1月、米バイオ企業のアドバンスド・セル・テクノロジー社があらゆる細胞に変化できるES細胞(胚性幹細胞)から作製した網膜細胞を加齢黄斑変性症で失明しかかった高齢女性2人に移植し、視力を回復させることに成功したとのニュースが大々的に報道された。それもそのはず、ES細胞を使った治療が効果を上げたとの報告は、世界初のことだったのである。

 ES細胞やiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った再生医療の研究成果は「夢の治療」として、一般メディアに取り上げられる機会が多く、ついすでに実用化された治療法のように思いがち。しかし現実の成果は研究室内にとどまり、一般臨床で応用されるのはしばらく先のことだと見なされていた。しかし、先月の報道でこの予想が払拭されたのだ。

 成功要因は二つ。まず、ES細胞による再生医療で必ず問題になる“拒絶反応”を比較的起こしにくい「眼」という組織が対象であること、二つ目はES細胞から分化させた網膜色素上皮細胞を外来で注入するだけの単純な方法であることだ。複雑な手順が余計なリスクとコストを伴うのはどの領域でも同じ。合理的なターゲット組織と方法を選択した同社の戦略勝ちといったところだろう。もう一つの課題である「がん化」リスクについては、長期的な観察が必要であり、今後の報告を待つ。同社は昨年秋、英国で同じ内容の臨床試験を開始。欧州で初めて認可されたES細胞試験であり、ES細胞による再生医療はようやく実用化のメドが立ったといえる。

1 2 >>
関連記事
このページの上へ

井手ゆきえ [医学ライター]

医学ライター。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会正会員。証券、IT関連の業界紙編集記者を経て、なぜか医学、生命科学分野に魅せられ、ここを安住の地と定める。ナラティブ(物語)とサイエンスの融合をこころざし、2006年よりフリーランス。一般向けにネット媒体、週刊/月刊誌、そのほか医療者向け媒体にて執筆中。生命体の秩序だった静謐さにくらべ人間は埒もないと嘆息しつつ、ひまさえあれば、医学雑誌と時代小説に読み耽っている。

 

週刊ダイヤモンド編集部


専門医の監修を得て、あなたの症状に潜む病気の可能性を検証。カラダのアラームをキャッチせよ。


カラダご医見番

ハードワークのストレスに加え、飲酒や脂っこい食事。ビジネスマンの生活習慣は健康面からは実にハイリスクです。痛い・苦しい・痩せた・太った・イライラする…。そんな症状はどのような病気の兆候なのか?どんな治療が有効なのか?いきいきと働き続けるために、身体と病気に関する正確な知識が欠かせません。

「カラダご医見番」

⇒バックナンバー一覧