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弁護士界の憂鬱 バブルと改革に揺れた10年

給費制廃止で司法修習生がなんと“多重債務者”に
今こそ議論すべきは「弁護士の一分」

【第7回】 2012年4月27日
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司法試験に合格した弁護士の卵たちは、1年間の司法修習を経て弁護士となる。連載の第3回では、弁護士の就職難から、2011年末には司法修習後に弁護士会への弁護士登録をしない弁護士の卵たちが400人に達したことを述べた。今回は、その司法修習生たちの経済的困窮の問題を取り上げる。問題を突き詰めて行くと、「弁護士とは何者か」という問いに行き当たる。
(ダイヤモンド・オンライン編集部 片田江康男)

手付金1万円だけで
原発被災者に尽力する前提

 「1万円しかいただけません。行き帰りの新幹線代も出ませんが、私は福島に行きます。それが弁護士の仕事だと思っていますから」

 こう話すのは城北法律事務所の種田和敏弁護士だ。福島第一原子力発電所の事故被害弁護団員として被災者に寄り添いながら、日弁連給費制対策本部委員も務める。

 福島へは定期的に足を運び、被災者のために活動を続けるが、東京から福島への交通費や東京電力への損害賠償請求に関する相談料など、実際にかかる費用は馬鹿にならない。しかし、「経済的にも精神的にも大きな被害を受けた被災者の方から、お金などいただけません。でも、そうした立場の方の権利を守るのが弁護士としての大事な仕事です」と話す。将来的に、東京電力から損害賠償金を取り戻せるのか、取り戻せたとしても、いつになるのか、そんなことは分からない。それは承知の上だ。

 ただし、前提があったと種田弁護士は言う。給費制が延長されたことだ。

 「もし給費制が延長されずに貸与制であったなら、福島には行けなかったと思います。行きたくても、行けなかったでしょう。妻も反対していたに違いない」

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弁護士界の憂鬱 バブルと改革に揺れた10年

司法制度改革から10年が経った。法曹界の2割しか機能していない現実を「2割司法」と呼んで問題視し、矢継ぎ早に司法制度が改革されてきた。市民に近い弁護士界を掲げたり、弁護士人数を増やそうと司法試験制度や法科大学院制度を整備したり、さまざまな改革を行った。同時に、過払い金返還請求という空前のバブルも到来した。しかし、弁護士界は制度の理想と現在の姿は必ずしも一致していない。改革とバブルに激しく揺らされ、ただ混乱をしているように見える。

「弁護士界の憂鬱 バブルと改革に揺れた10年」

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