キャッシュレス化推進は、多くのプレーヤーの利害関係が複雑に絡み合う。週刊ダイヤモンド9月29日号第1特集「乗り遅れるな! キャッシュレス」では、業界関係者にそれぞれの立場で現状をどう見ているかを語ってもらった。特集で掲載した覆面座談会を、ダイヤモンド・オンラインで特別公開する

スマホによるキャッシュレス決済は普及する?関係者による覆面座談会

──キャッシュレス化推進に向けて、業界構造が大きく揺れ動いている現状をどう見ていますか。

A氏(クレジットカード会社関係者) 主役は、決済スピードが最速の電子マネーというのが見立てです。クレジットカードは少額で大量の決済にはそぐわない。

クレジットカード会社関係者のA氏

 ただ、富裕層が百貨店で高い買い物をする際に、電子マネーやQRコードで支払う姿を想像できますか? 財布の小銭入れは電子マネー、札入れはクレジットカードというすみ分けで置き換わっていき、共に成長していくでしょう。

B氏(メガバンク関係社) 「銀行の3大業務」といわれるのが、預金と融資、為替(決済)ですが、昔はどれももうかった。ところが、低金利の環境が続き(預金と融資の金利差である利ざやがつぶれて)、預金・融資の業務はもうからなくなりました。

メガバンク関係者のB氏

 そこへさらに、為替にも(IT企業などの)新規参入が相次いで収益を圧迫される。三重苦です。

 銀行としては固定的な経費に切り込まざるを得ない状況なので、現金の取扱量を減らすことでコストを下げたい。これは地方銀行とも利害が一致します。

 もし現金の量が2割減れば、5台あるATMを1台減らせることになる。すると、数百万円という1台分の維持コストが浮きます。