激変!エネルギー最新事情
【第18回】 2018年9月28日
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ダイヤモンド・オンライン編集部
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「原油100ドル超え」はあるか?先高観に覆われる相場の正体

 原油価格の上昇を受け、OPEC産油国は今年6月の総会で、2017年初頭から続けてきた協調減産の緩和を決めた。実施中の減産措置につき、今年7月から年末まで、これまで150%程度だった減産順守率を100%へ引き下げるという「事実上の増産」に合意したのだ。とはいえ、石油収入確保のため原油の値崩れを嫌う加盟国の足取りは重く、増産目標は市場予想より小幅となった。

OPECの原油増産余力は
実はそれほどない

 加えて、OPECの生産能力には不安がある。ブルームバーグによると、イラン制裁が本格化していない8月時点でも、加盟国全体の生産量は日量約3241万バレルと、生産上限枠約3273万バレルを達成できていない。また、OPECには日量300万バレル強の余剰生産能力があると言われるが、実は不透明要因が多い。増産の本丸はサウジアラビアで余剰生産能力が日量200万バレル強あるものの、減産に参加していないリビアとナイジェリアがそれぞれ持つ30万強の余剰御生産能力は、インフラの制約や内乱による政情不安によって見込めない状況だ。

 ロシアは2017年からOPECの協調減産に参加する直前、駆け込みで生産を増やしているが、当時の水準を考慮すると、余剰生産能力は日量20~30万バレル。現在は西側諸国から経済制裁を受けており、原油生産のための資金・資材を調達できないため、当時と比べて能力は上がっていないはずだ。

 つまり現状では、サウジとロシアを合わせても余剰生産能力は日量200万バレル台半ばが限界。イランとベネズエラで予想通りかそれ以上に生産が減ると、「余力」はいくらもないことになる。

 原油価格は2008年前半に150ドル近くまで高騰した。「当時、OPEC産油国の余剰生産能力が世界の石油需要に占める割合は2.6~2.7%程度だったが、このまま余剰生産能力が減っていくと、当時の水準に近づいていく」(野神エコノミスト)。需給の逼迫度は想像していたよりも強いと言える。

 こうした事態を、当初、市場関係者はいくぶん楽観視していた。OPECによる減産緩和への合意や、トランプ大統領が中国やカナダに仕掛けた貿易戦争で世界経済が減速するという見通しから、市場では一時、需給の逼迫感が緩んでいた。その反動もあり、足もとでイランやベネズエラの原油輸出がいよいよ減り始めると、逼迫感が一気に高まったのだ。

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原子力発電所の再稼働のメドが立たない今、エネルギーの安定的な確保ができるかは国民生活にとって非常に重要な意味を持つ。国内ではスマートコミュニティや大型蓄電池、太陽光発電に代表される再生可能エネルギー、地熱発電、メタンハイドレートなど、さまざまなエネルギー源の実用化へ検討が進められている。エネルギーに関する最新事情をレポートする。

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