グローバル市場における
カテゴリー・イノベーション

 アジアでの事業展開の支援に特化したコンサルティングファーム、クロスフェイスの取締役COOの永海靖典氏は、市場データの見方を少し変えることで、新たなカテゴリーを創出できる可能性があると言う。

「中国の菓子市場ではチョコレートの消費ボリュームが非常に少なく、焼き菓子の割合が半分近くあります。焼き菓子が半分以上あり、また、チョコレートの価格環境が厳しい中で、ほとんどの企業は諦める傾向にあります。

 市場の捉え方として、市場起点の商品投入を意識して、逆にチョコレートとビスケットを融合させた味と食感を考案するなど、日本が本来強かったものづくりによるカテゴリー創出ができるかもしれません」

 海外でのブランディング経験が豊富な、電通ビジネス・クリエーション局コンサルティング室の岡田浩一部長は、日本企業が陥りやすいケースをこう説明する。

「アジアに生産拠点を持つ企業は、生産の実績があるので販売も容易と考え、市場進出されるケースがあるが、必ずしもうまく売れるとは限らない。

 商品を押し付けるのではなく、どのようなニーズがあるのかから虚心坦懐にマーケティングを行う必要がある。ジャパンプレミアム=高品質だから売れるという考えは楽観的過ぎる。海外での評価が高い日本独自の文脈を織り込んだ商品やサービスを創ることが、成功への近道となる」

 海外市場に参入するときも、カテゴリー・イノベーションという考え方は、提供価値の創造における強力なコンセプトツールになる。電通・電通コンサルティングでは、このツールを最大限に活用しながら、クライアント企業の国内外での成長戦略を支えてゆく考えだ。